大作の公開が重なってIMAXスクリーンは大渋滞 『デューン』体験はお早めに!

大作の公開重なりIMAXスクリーン大渋滞

 先週末の動員ランキングは、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が土日2日間で動員18万8396人、興収2億9018万360円をあげて2週連続1位。10月10日までの10日間の累計では動員91万7168人、興収13億3095万5870円。支離滅裂な展開(『007』シリーズの長い歴史をふまえればこちらが正統派とも言えるが)、ヴィランの魅力のなさ(演じたラミ・マレックのせいではなく脚本の問題が大きい)など、今作の内容に関しては否定的な声もあるものの、そんなことはどこ吹く風で好調なペースで数字を積み上げているのはさすが『007』シリーズといったところか。

 「さすが『007』」という点では、日本から1週遅れて10月8日に劇場公開された北米でも、同作はパンデミック以降、特に映画館離れが起こっていた高年齢層の観客を映画館に呼び戻すことに成功している。THE HOLLYWOOD REPORTER(https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/no-time-to-die-box-office-opens-1235029293/)によると、『ノータイム・トゥ・ダイ』のチケット購入者の25%以上がパンデミックが始まってから初めて映画館に足を運んだという。また、チケット購入者の36%が45歳以上で、これは前週に公開された『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の45歳以上のチケット購入者の4倍の比率とのことだ(『ヴェノム』の高年齢者比率が低すぎるという見方もできるが)。

 もっとも、北米における『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の約5600万ドルというオープニング興収は、前々作『スカイフォール』の約8840万ドルや前作『スペクター』の約7040万ドルを下回っていて、現在のところその目減り分を主にヨーロッパ各国での好調な成績が補填しているかたちだ。北米での不調は、今年の夏以降『ノー・タイム・トゥ・ダイ』だけでなく、これまで公開延期となっていたブロックバスター映画の公開が相次いでいて作品が渋滞気味であること。さらに、近年の『007』シリーズの公開はクリスマス前のハイシーズンだったが、今回はその時期から外れていることも影響しているのかもしれない。

 公開作品が渋滞気味という意味では日本も同様。特に今月から来月にかけては、空前のIMAX作品ラッシュとなっている。公開中の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』、今週金曜日の10月15日公開の『DUNE/デューン 砂の惑星』、そして11月5日公開の『エターナルズ』。この3作品に共通するのは、いずれもIMAXフォーマットでの上映がおこなわれるというだけでなく、それぞれ本編全体におけるその時間/比率には長短があるものの、IMAXカメラによって1.43:1のフルフォーマットで撮影されている作品であるということ。製作費1億ドル以上のブロックバスター作品の公開時期が重なること自体は珍しいことではないが(正月でもゴールデンウィークでもサマーシーズンでもない時期にここまで重なるのは珍しいが)、正真正銘のIMAX撮影作品の公開がここまで重なるのは稀だ。

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