『おかえりモネ』は亮をどう救うのか 百音の“分身”あかりを登場させた意図を読み解く

『おかえりモネ』は亮をどう救うのか

 また、離れた場所にいながら、同じ思いを共有し、対等に相談し、助け合える関係の菅波と百音は、第30回において、田中(塚本晋也)が耕治(内野聖陽)と亜哉子に対して使っていた「ニコイチ」という言葉がまさに相応しい関係になってきた。あの時、未来を示唆するように呈示された、田中が撮影した、まだ恋愛未満の百音と菅波の2ショットは、百音の部屋に置かれた、菜津が描いた似顔絵による2ショットに繋がり、2人の歴史を形作っている。

 災害FMを前身としたコミュニティFMから流れる、街の人々の心に静かに寄り添う百音のラジオは、賑やかな街の雰囲気に合っているとは言えないが、まだ仄暗い朝を照らす灯りとなり、18時を知らせる時報代わりとなり、気仙沼の日常に溶け込みつつある。

 百音はもう大丈夫だろう。あんなにも遠ざけていた音楽を、それも中学生時代に皆で演奏した音楽を、地元での再出発の第一声で用い、さらにはかつての自分とも向き合ったのだから。何があろうとしぶとく戦える。

 心配なのは亮のことだ。こんなにも複雑な感情を併せ持った難役を永瀬廉が見事に演じている。彼の人生と向き合うことが、『おかえりモネ』の、並びに百音・未知姉妹のドラマにおける最後の課題となるのかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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