『おかえりモネ』未知が百音に苦しみをぶつける　大事な人を優先してしまうことへの葛藤

　ただ将来を考える上で咄嗟に守ってしまうのが、“自分”の気持ちか“他者”の気持ちかの違いだ。どちらも勇気がいることだし、人を思いやっていることには変わりない。龍己の決断が物語るように、自分の気持ちを優先した先に誰かの幸せが待っていることもある。

「お姉ちゃんはいいね。自分の本当にやりたいことを見つけて、仕事にして、こっち戻って、好きな人とも仲良くて、気持ち通じ合ってて、結婚も。最高だよね。ぜんぶ順調じゃん。ぜんぶ持ってんじゃん。私の気持ちなんか、わかるわけない」

　今回また、百音が傷つくような言葉で正直な気持ちをぶつけた未知に否定的な意見を持つ人もいるだろう。未知には一度、自分を犠牲にしないでやりたいことをやってほしいという思いもある。だけど彼女の葛藤はとてもリアルで、多くの人が抱える現実だ。家族のこと、お金のこと、年齢のこと。様々な理由で夢を諦めざるを得ない人がこの世界にはたくさんいる。足かせを外すには、また誰かの犠牲が必要だったりして、決して簡単な決断ではない。

　それでも今、未知のそばには「共に生きる」と決めた大切な人たちの思いから目を背けない百音がいる。“わからないけどわかりたい”と願う、自分とは違う決断をした百音の言葉をヒントに、未知が納得できる選択ができたらいい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本：安達奈緒子
制作統括：吉永証、須崎岳
プロデューサー：上田明子
演出：一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供＝NHK