柳楽優弥、2021年に再ブレイクの兆し 『二月の勝者』で30代俳優のトップに王手?

柳楽優弥、2021年に再ブレイクの兆し

 それ以降も映画への出演はひっきりなしにあり、国内外の映画賞を席巻した『ディストラクション・ベイビーズ』をはじめ、小規模ながら質の高い作品であった『合葬』から、今ひとつ伸びきれない若手作家を演じた『響 -HIBIKI-』と、さまざまな作品で存在感を発揮。福田雄一組の俳優のひとりとしても活躍し、彼が手がけた『銀魂』シリーズでは土方十四郎役でキレ味抜群の立ち回りとコメディ演技を両立させたり、『今日から俺は!!劇場版』ではライバル校の番を張る極悪キャラに成り代わる(ドラマ版では『アオイホノオ』の焔モユル役でテレビ局の垣根を超えて登場したのも面白かった)。

『今日から俺は!!劇場版』(c)西森博之/小学館 (c)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

 一方で『アオイホノオ』を契機としたテレビドラマへの進出は、NHKの連続テレビ小説『まれ』への出演や、岡田将生と松坂桃李と共演した宮藤官九郎作品『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)に繋がり、大河ドラマ『おんな城主 直虎』にも出演。同じ頃から松坂桃李や土屋太鳳、高畑充希らとともにJRAのCMでもコメディレリーフとしての印象をさらに強化させる。ひとえにカメレオン俳優と括りきれない、演技ポテンシャルの高さを活かす場が用意されればその期待に応える究極的な職人技を感じずにはいられない。とりわけそれが、コメディというある種のテクニックを必要とするジャンルの作品であれば尚更だ。

『HOKUSAI』(c)2020 HOKUSAI MOVIE

 2021年に入ってから、モンゴルやフランスとの合作映画『ターコイズの空の下で』、葛飾北斎の若き日を演じた『HOKUSAI』、そして原子物理学の科学者を演じた『太陽の子』と主演映画が公開。そして12月には劇団ひとりがメガホンを取ったNetflix映画『浅草キッド』で、大泉洋とダブル主演を務め、ビートたけしの若き日を演じる。すでに解禁されている同作の予告編を見ると、些細な動作に至るまでビートたけしの雰囲気を見事に体現していることがよくわかる。作品としては青春ドラマとしての様相が強そうだが、“人を笑わせる”コメディアン役には、これまで培ってきたコメディ演技のテクニックが存分に活かされることだろう。

 そして『二月の勝者』で演じる黒木という役柄もまた、超現実的で本音主義の持ち主であり、常に仏頂面という、なんともキャラクター性が強そうな役回りだ。コメディとは異なるベクトルで、その貫禄たっぷりの演技を発揮するにはもってこいの作品ではないだろうか。『誰も知らない』から17年、民放連ドラ初主演の『アオイホノオ』から7年で、よりポップなブレイクの機会に恵まれつつ、もう一段階上のステップへのぼりつめようとしている柳楽。30代早々にして、同世代の俳優たちの“勝者”になる日もそう遠くはない。

■放送情報
『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』
日本テレビ系にて、10月16日(土)スタート 毎週土曜22:00〜放送
出演:柳楽優弥、井上真央、加藤シゲアキ、池田鉄洋、瀧内公美、今井隆文、加治将樹、住田萌乃、岸部一徳ほか
原作:『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』高瀬志帆(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
脚本:成瀬活雄
音楽:小西康陽
主題歌: DISH//「沈丁花」(ソニー・ミュージックレコーズ)
テーマソング:NEWS 「未来へ」(Johnny’s Entertainment Record)
演出:鈴木勇馬ほか
プロデューサー:次屋尚、大塚英治(ケイファクトリー)
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/2gatsu/
公式Twitter:@2gatsu_ntv
公式Instagram:@2gatsu_ntv

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