Netflix『ケイト』の大ヒットが表す、「映画館で見たい作品」と「配信でもいい作品」の違い

Netflix『ケイト』大ヒットを考察

 先週末の動員ランキングは、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が土日2日間で動員10万1000人、興収1億5500万円をあげて再々浮上。2週前の本コラム(参考:シャマラン新作『オールド』、初登場7位 監督の意向は無条件に尊重されるべきか?)でも触れたように、今回の再々浮上もその原動力となったのは週末に合わせて配布された新しい配入場者プレゼント(スペシャルメイキングブック)だった。

 前週1位の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、土日2日間の動員は7万9000人、興収は1億2900万円で先週末は2位。前週との興収比では40%以上のダウン。スーパーヒーロー映画(特にMCU作品)は公開週に熱心なファンが集中することが多く、2週目以降の下落率が高いことのが特徴だが、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』もその例外ではなかった。同じように、アメリカでもスーパーヒーロー映画の2週目以降の下落率の高さはよく話題になるが(1週目の興収が大きいだけに下落率は日本よりも激しい)、実は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に関しては2週目以降も予想外に高い数字をキープしていることが大きな話題となっている(参考:https://screenrant.com/shang-chi-box-office-second-weekend-gross-earnings/)。その背景には、『ブラック・ウィドウ』とは違って、公開と同時にディズニープラスのプレミアアクセスで配信されていないことも挙げられるだろう。

 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の劇場での大ヒットを受けて、アメリカのディズニー本社は、MCU作品の次回作『エターナルズ』を含む、今年公開予定の6作品(『エターナルズ』、『キングスマン:ファースト・エージェント』、『ウエスト・サイド・ストーリー』、『最後の決闘裁判』、『ミラベルと魔法だらけの家』、『ロン 僕のポンコツ・ボット』)を映画館で独占公開し、少なくとも45日間(『ミラベルと魔法だらけの家』は30日間)はどんなかたちであれ配信リリースはしないと発表した(参考:https://variety.com/2021/film/news/eternals-encanto-west-side-story-last-duel-theaters-disney-1235061504/)。昨年の『ムーラン』から続いてきた(興行サイドや観客にとっては)混乱の日々に、これで一先ずは終止符が打たれたわけだ。

 ディズニー/ディズニープラスやワーナー/HBO Maxを中心に、この1年半あまり、劇場と配信の棲み分けについては様々な議論がされてきた。中でも、ディズニーが推し進めてきた自社プラットフォーム内における有料配信(プレミアアクセス)については、正式な数字が公表されていないこともあって、その成果や是非について外部からはなかなか論じにくいトピックとなっている。しかし、予想されていた以上のペースで映画館回帰の傾向が見られるアメリカの観客の動向からは、「配信で見られるならすべて配信でいい」という視聴者は限定的で、多くの人が「映画館で見たい作品」と「配信でもいい作品」をしっかり選別していることがうかがえる。



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