相次ぐドラマ出演者のコロナ感染 撮影が中止されたドラマの運命やいかに

コロナ禍でのドラマ制作事情

各テレビ局の感染対策は?

 2020年5月13日には、一般社団法人 日本民間放送連盟が『番組制作における新型コロナウイルス感染予防対策の留意事項』を発表した。そのなかには、会議や打ち合わせから収録、番組制作、編集作業、衛生の促進など、さまざまな場面での留意点と先行事例が細かく記載されている。たとえば一般にも広く行われているマスクの着用やソーシャルディスタンス、アルコール消毒液の使用などはもちろん、テレビでよく見かけるアクリルスタンドの設置やエレベーターの使用制限などを実施しているようだ。また出演者と接触する際にはゴム手袋とゴーグルの着用が義務付けられたり、必要最小限の人数での会議や撮影、ロケ車両は常に窓を開けて換気するなど、細心の注意を払っていることがわかる。

 個々のテレビ局に関しては、公式に細かな対策を公表しているところは多くないが、日本テレビやTBSが共通して行っているのは、一般的な対策に加えて社屋入構者への検温や入構制限、リモートワークの推進、三密の回避だ。テレビ東京ではそれらに加えて、社員の発熱時の早退および自宅待機指示、発症の可能性があった場合の対応指示もしている。それでも第5波は食い止めきれず、テレビ業界は再び苦境に陥っている。これまで出演者から感染者が出ず、予定通り撮影が進んでいる番組は、幸運としか言いようがない。

 コロナが流行しはじめた昨年の4月期には、感染防止対策のため多くのドラマの放送が最長で3カ月ほど延期され、通常全11話のところを短縮して放送された。たとえば6月から放送が開始された木村拓哉主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)は第1話と第2話、第6話と第7話が拡大スペシャルとなり全7話で完結した。日本テレビ系の人気ドラマ第2弾『ハケンの品格』も6月から放送開始、全8話に短縮。またTBS系の『わたしの家政夫ナギサさん』は7月から放送され、全9話+特別編というかたちに変更されている。今回も撮影が中断されたドラマは話数が削られるのか、特別編の放送があるのか、あるいは10月期に放送がずれ込むのか、どんな対応になるのかが気になるところだ。視聴者としては、最後まできちんと物語が描かれることを祈りたい。

参照

https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/20200406.html
https://www.tbs.co.jp/information/20200406.html
https://www.txhd.co.jp/pdf/corona-virus.pdf
https://www.j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba103834

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