『おかえりモネ』百音と未知の葛藤 「何でお姉ちゃんなの」に込められた心の痛み

『おかえりモネ』百音と未知の葛藤

 『おかえりモネ』のチーフ演出を担当する一木正恵氏は、「姉妹の関係は『おかえりモネ』最大のテーマを内包しています」と語っている(『連続テレビ小説 おかえりモネ Part2 NHKドラマ・ガイド』より)。そして、2人の関係性を「月の満ち欠け」と例えているのは言い得て妙である。お天気キャスターとして脚光を浴びる百音は気仙沼でも、登米でも有名人としてもてはやされているが、地元にいるはずの未知の仕事が理解されることはなかなかない。その一番の理解者であるはずだった亮もまた百音を頼ってしまう。「誰かが残んなきゃ」「何でお姉ちゃんなの」。未知の言葉には嫉妬だけではない、当事者にしか分からない心の痛みが込められている。そして、この「月の満ち欠け」は耕治と新次にも当てはまる言葉だ。

 虚ろな視線、セリフに込めた感情と間、止めどなく流れ出る涙。一つひとつの言葉以上に清原果耶と蒔田彩珠の演技が生み出す張り詰めた空気感が、姉妹の間に少しづつ生まれていた心の距離をリアルに伝えていた。第16週「若き者たち」では、三生(前田航基)や悠人(高田彪我)も仙台から駆けつけ、久しぶりに幼なじみ6人が集結。百音は「先生が目の前からいなくなっちゃうの嫌だって思ってるんです」と菅波の手に触れる。

※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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