『うきわ』の浮遊感は門脇麦の芝居にあり? 麻衣子と二葉さん急接近の第2話

『うきわ』の浮遊感は門脇麦の芝居にあり?

 画面全体から伝わってくる湿度の高さや浮遊感は、本作の何事も白黒はっきりつかずグレーゾーンで揺れ動く登場人物たちの人間関係から立ち込めるものだとも思うし、“ベランダ”という場所は家庭からも外界からもある種切り離され“漂っている”船のような場所とも言えるが、特にその印象を強めているのは主人公演じる門脇麦の存在感だろう。映画『あのこは貴族』で彼女が演じた、所在なさそうだけれども静かな抵抗を続ける実は強い主人公・榛原華子とも重なる。

 「いつでも話聞きますから。なかなか言えないしね、本人には。一人で抱えるのはしんどいよね」と聞き上手で麻衣子にとって欲しい言葉をくれる二葉さんに、彼の妻・聖は本音を打ち明けられず全く体温のない会話が彼らの間では交わされる。一方、浮気相手である陶芸教室の田宮先生(SixTONES・田中樹)の前では素直になれる様子にまた、二葉夫婦が決定的にすれ違ってしまうような取り返しがつかない“何か”が過去にあったのだろう、と想いを馳せずにはいられない。

 麻衣子はベランダで、早朝のゴミ収集場でたまたまタイミングが合った際の気まぐれなお喋りではなく、「二葉さんと」もっといろんなことを話したいと願い始める。これが麻衣子の浮上のきっかけになるのか。彼らの関係がどこに向かって浮遊していくのか、また彼らを取り巻く人間関係はどう変化していくのか、目が離せそうにない。

■放送情報
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
テレビ東京系にて、毎週月曜23:06〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:門脇麦、森山直太朗、田中樹(SixTONES)、高橋文哉、小西桜子、大東駿介、蓮佛美沙子、西田尚美
原作:野村宗弘『うきわ』(小学館ビッグスピリッツコミックス)
監督:風間太樹、太田良
脚本:倉光泰子、神田優
音楽:坂本秀一
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:本間かなみ(テレビ東京)、滝山直史(テレビ東京)、唯野友歩(AOI Pro.)
制作:テレビ東京/AOI Pro.
製作著作:「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
(c)野村宗弘・小学館/「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/ukiwa/
公式Twitter:@tx_ukiwa

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる