杉咲花、声優としても輝きを放つ多彩な表現力 『サイコト』スマイル役の笑い声は必聴

杉咲花、声優としても輝きを放つ多彩な表現力

 中でも特筆しておきたいのは、スマイルの笑い声。杉咲は自身のラジオ番組『杉咲花のFlower TOKYO』(TOKYO FM)のパーソナリティーを務めているが、そこで見せる素の笑い声が監督のイシグロキョウヘイの目に止まり、スマイルを演じる上でのヒントになっているという。筆者も『おちょやん』をきっかけに番組を聴き始めたリスナーの一人だが、「ははは」と少し甲高く笑うその声はスマイルと杉咲花とで限りなく似通っている。加えて、『杉咲花のFlower TOKYO』にもゲスト出演し、主題歌「サイダーのように言葉が湧き上がる」を手がけたnever young beachの安部勇磨とは今作への出演が決まる前からプライベートでの交流があったという運命的な巡り合わせもある。

 そして、忘れずに記しておかなければならないのが、この作品が当初は2020年5月に公開予定であったこと。つまり『おちょやん』開始よりも前に封切りを迎えるはずであった。監督のイシグロのもとに制作の話があったのは2015年9月。約5年の制作期間と1年2か月後への延期を経て、ようやく日の目を見ることになった作品だ。

 『サイダーのように言葉が湧き上がる』と10月から始まる『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』に共通するのは、コンプレックスすらも愛おしく感じられる瞬間がある、という観るものの背中を押すテーマ。そう考えると、このインターバル期間に公開されたこともまた杉咲にとっては意味のあるタイミングだったようにも思えてくる。

■公開情報
『サイダーのように言葉が湧き上がる』
全国公開中
出演:市川染五郎、杉咲花、潘めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ、神谷浩史、坂本真綾、山寺宏一
原作:フライングドッグ
監督:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン:愛敬由紀子
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:シグナル・エムディ×サブリメイション
製作:『サイダーのように言葉が湧き上がる』製作委員会
配給:松竹
(c)2020フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会 (c)KAZUMI KURIGAMI
公式サイト:cider-kotoba.jp
公式Twitter:@CiderKotoba

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