アニメ『チェンソーマン』でも話題に ヒット作続出の制作スタジオ「MAPPA」とは?

 アニメ制作の現場は、その都度集められる監督や作画、美術、撮影の各スタッフ、そしてなにより製作費によって出力される内容に差異があるので、作画のハイクオリティぶりにせよ美術の美しさにせよ、一概にこれがMAPPAの特性とまで言い切れるものではないのだが、マッドハウス時代に多くの名監督と組んでヒット作を世に送り出した丸山正雄が立ち上げたスタジオだけに、作品チョイスの眼力、先見性、企画力は一貫して確かなものがあり、アニメファンの間では「MAPPAのアニメなら大丈夫」といった一種の安心のブランドにもなっている。前述の『チェンソーマン』同様、『週刊少年ジャンプ』連載のバトル漫画をアニメ化した『呪術廻戦』(2020年)もまた、そんなMAPPAの名を広く世に知らしめた作品のひとつだろう。

 ご当地アイドルと、ゾンビネタを組み合わせた異色のテレビアニメ『ゾンビランドサガ』(2018年)、その第2期『ゾンビランドサガ リベンジ』(2021年)では、キャラクターの日常芝居部分を手描き作画の2Dアニメ、ライブステージ部分を3DCGアニメで描きながら、CGらしいわざとらしさがないシームレスなセルルックのCG技術が素晴らしい。現在は水泳競技の水球をテーマにした、原作漫画なしのオリジナルアニメ『RE-MAIN』が放送中だが、水面に浮かんだボールを水の底から見上げる主観映像の水の揺れ具合、空から水中に差し込む陽光を表現した第1話冒頭は秀逸だ。常に視聴者を驚かせる作品と作画で魅了してくれるMAPPA作品から、当分目が離せそうもない。放送待機中の『進撃の巨人 The Final Season』、『チェンソーマン』にも期待したい。

■のざわよしのり
ライター/映像パッケージの解説書(ブックレット)執筆やインタビュー記事、洋画ソフトの日本語吹替復刻などに協力。映画全般とアニメを守備範囲に細く低く活動中。

■作品情報
『チェンソーマン』
原作:藤本タツキ(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:中山竜
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
アクションディレクター:吉原達矢
チーフ演出:中園真登
悪魔デザイン:押山清高
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
画面設計:宮原洋平
音楽:牛尾憲輔
アニメーションプロデューサー:瀬下恵介
制作:MAPPA
(c)藤本タツキ/集英社・MAPPA
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式Twitter:@CHAINSAWMAN_PR

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