『賢い医師生活』S2第5話は出色の出来の97分　如才ないイクジュンの欠点が浮き彫りに

　今週のバンド曲は、男性R＆BデュオBrown Eyesの2001年の楽曲「もう1年」をカバー。エピソード中に、「たがが1年だ」「1年間、体のことだけを考えろ」「1年は長いです」「1年なんてすぐだ」といくつものヒントを置き、ヴィヴァルディの「四季」にのせて、食事と服装と会話で時間の経過を見せた。このタイムスキップ演出でシーズン制の難点だった現実との時間軸のずれを調整し、ソンファの帰還とウジュの成長、シーズン1では学生インターンだった双子をレジデントに進級させる3点を解決している。

　これでようやくドラマ内の時計も2021年春となり、来週の第6話からシーズン3のような第2部に入る状況が整った。

　第5話のテーマだと推理した、“自分以外は知る由もない心のうち”。韓国では毎週最高視聴率を更新し続け、張りめぐらされた伏線を解説する考察YouTubeなども盛んだという。ところで、第4話のラストに流れる予告編を見直してみよう。意味深なセリフの数々はミスリードで、多くが異なる文脈で発せられる。編集によっていかようにも印象操作が可能になることを示す少しいじわるな仕掛けであり、本稿を含め伏線回収や予測は他人の頭の中にある勝手な想像に過ぎない。クリエイターの思惑はドラマ本編が雄弁に語り、世界に共有される。

■平井伊都子
ロサンゼルス在住映画ライター。在ロサンゼルス総領事館にて3年間の任期付外交官を経て、映画業界に復帰。

■配信情報
『賢い医師生活』
Netflixにて配信中
写真はtvN公式サイトより