“ジャッキー・チェン”というジャンルを築くまで 最新作『プロジェクトV』までの歩み

ジャッキー・チェンというジャンルを築くまで

その影響はハリウッドも飲み込んだ

 最初に挙げたキャッチコピーに立ち返ろう。90年代、映画産業にコンピュータ・グラフィックスが席巻し始めた。これからの映画はCGがカギを握ると言われたもので、どんな映像でも作ることができると思われていた。

 ジャッキー・チェンはそんな時代に『レッド・ブロンクス』を引っ提げ、全米に乗り込んだ。そして、アジア映画で初めて全米初登場一位を獲得する快挙を成し遂げた。この成功は、アジア系俳優を勇気づけると同時に、CG映画を主導するハリウッドに「別の可能性」を見出させたという点でも、映画史の中で特筆すべき役割を果たしたと言える。

 なぜ、『ミッション:インポッシブル』でトム・クルーズは果敢なアクションに挑むようになったのか。『ワイルド・スピード』が本物のカー・クラッシュにこだわるのはなぜか。そこには、CGでは生み出せない本物の迫力があるからだ。それをハリウッドに知らしめたのがジャッキー・チェンなのだ。

 その影響は、ハリウッドだけでなく日本映画にも届いている。『るろうに剣心』のアクション監督を務める谷垣健治氏も、ジャッキー・チェンに憧れ香港でアクションスタントを学び、本物の持つ迫力にこだわり続けている。『るろうに剣心』でスタントコーディネーターを務めた大内貴仁氏がアクション監督を務めた『HiGH&LOW』シリーズも生身の集団アクションが大きな話題を呼んだ。『レッド・ブロンクス』から25年経過し、CGの技術は各段に進歩しても。いまだに「本物の迫力」がすたれずに支持され続けているのは、実は驚異的なことではないだろうか。

 ジャッキー・チェンが切り開いた道は、いまも途切れずに続いている。『プロジェクトV』にはCGのパートもあるが、CGが主役になることはない。役者とスタントマンの肉体こそが映画の主役であり続けるジャッキー映画というジャンルは、ジャッキー本人が本当にアクション映画を退いてもなくなることはないだろう。

予約はこちら:https://lnk.to/pLAZnmta

■リリース情報
『プロジェクトV』
9月8日(水)、Blu-ray&DVD発売/デジタル配信開始
Blu-ray スペシャルエディション(数量限定生産):6,380円(税込)
DVD:4,180円(税込)

【映像特典】
●インタビュー(ジャッキー・チェン、ヤン・ヤン、アレン、ムチミヤ、スタンリー・トン)
●メイキング
●オリジナル予告(5種)
●日本版予告(2種)
【外装特典】
●特製スリーブケース
●リバーシブルジャケット
【封入特典】
●オリジナルポストカード(2種)
●リバーシブルミニポスター

監督:スタンリー・トン
出演:ジャッキー・チェン、ヤン・ヤン、アレン、ムチミヤ、シュ・ルオハン、ジュー・ジャンティン、ジャクソン・ルー
発売・販売:松竹
提供:ツイン
2020年/中国/広東語/107分/5.1ch/シネスコ/日本語字幕:小木曽三希子/原題:急先鋒/英題:Vanguard
(c)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO.LTD ALLRIGHTS RESRVED
Blu-ray・DVD・配信情報特設サイト:https://www.shochiku.co.jp/dvd/projectv/

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