原田泰造×磯村勇斗×三宅弘城のサウナーが再び 『サ道』はコロナ禍以降の現在をどう描く?

『サ道』はコロナ禍以降の現在をどう描く?

 そんなに人気なら、世の会社、もっとみんなサウナを始めればいいのに。と思うところだが、温浴施設って設備投資費がかかるので、タピオカ屋みたいに簡単には始められない。

 そうすると、どうなるか。値上がりするのです、人気のあるところは。

 たとえば改良湯は、改装前の昭和の銭湯だった頃は、タオル付き・サウナ付きで710円という破格の安さだったが、2018年12月に改装し、ニューウェイブ銭湯に生まれ変わってからは810円に上がり、さらにコロナ禍を経て、2021年4月1日からは920円になった。

 たとえば、赤坂のサウナリゾートオリエンタルは、2021年6月7日から、17時までと22時からを通常料金、17時から22時を割増料金(プラス500円)にする料金の改定を行った。

 上野の北欧は、コロナ禍以降はずっと、完全予約制・3時間2000円のままだ。コロナ禍前は、3時間1000円で入れるという夢のような時間帯もあったことが、もはや信じられない。

 お客増えてんだから値上げしなくていいじゃん!と言いたくなるところだが、7月2日放送のTBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』に出演していた、ニューウィングと北欧のスタッフの話によると、そうであってもコロナ禍以降は厳しいそうだ。「終電を逃して泊まる」というパターンがなくなって宿泊利用が激減した、そのダメージが、とても大きいという。

 なるほどー。サウナリゾートオリエンタルもホテルの付属施設で、コロナ禍前は、インバウンド客で満員だったもんなあ。

 すみません、エキサイトして長々と書いてしまいましたが、つまり、このような現在のサウナシーン(あんのかそんな言葉)が抱える諸問題を、『サ道2021』はどのように描いていくのか? あるいは、描かないのか? という話だ。


 絶対描かなきゃいけない、ということは、ないんだけど。むしろ、リアルに描かれば描かれるほど、息苦しくて、楽しく観ていられなくなる可能性もあるし。それに、シーズン1と同じように、いろんな人気施設を紹介していく、という基本的な構成は、シーズン1と変わらないだろうし。

 でも、全然描かないのもなあ。ちょっと前に、偶然さん役の三宅弘城、サウナから出て汗を流さずに水風呂に入って来た人に注意したらキレられた、とツイートしてたし。それくらいのことは、ねえ……。

 などと、うだうだ考えながら、Paraviで先行配信された第1話を観た。

 冒頭、北欧の外気浴スペースで、3人がしゃべっているシーンで、「ああそうか、こうやってしゃべってること自体が今はアウトだもんなあ、現実では」と、早速、心配になった。

 しかし、そこに白人の男が入って来た次のシーンでは、3人ともしゃべっていなかった。つまり「浴場では3人だけの時しかしゃべらない」というルールで、現実との折り合いをつけていくようです。なるほど。

 という要素を、いかに織り込んでいけるのか。2話目以降も、注意深く、そして真剣に、追っていきたい。

 あと、「宮崎駿と野々村真を生んだ街、東京都文京区」というモノローグとか、番組後半で繰り出される偶然さんの必然なきモノマネとかの、絶妙な温度のギャグセンス、今回も健在であることに、安心した。そして、今後も楽しみになった。

■兵庫慎司
1968年生まれ。音楽などのライター。「リアルサウンド」「週刊SPA!」「SPICE」「KAMINOGE」などに寄稿。「DI:GA ONLINE」で『とにかく観たやつ全部書く』を月2回ペースで連載中。

■放送情報
ドラマ25『サ道2021』
テレビ東京ほかにて、7月9日(水)スタート 毎週金曜深夜0:52~1:23放送
「ひかりTV」「Paravi」にて、先行配信中
※第2話以降は、前話の地上波放送終了直後より先行配信
出演:原田泰造、三宅弘城、磯村勇斗
原作:タナカカツキ『マンガ サ道』(講談社モーニングKC刊)
監督:長島翔
脚本:根本ノンジ、竹村武司、山田能龍
プロデューサー:寺原洋平、五箇公貴、手塚公一、伊藤才聞
製作:テレビ東京、イースト・ファクトリー
(c)「サ道2021」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37_2021/
公式Twitter:@sado_PRsauna
公式Instagram:@sado_PRsauna

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