“ちょっとブラックな”ネタがキモ テレビの洋画劇場らしさを味わえる『ピーターラビット』

『ピーターラビット』のテレビ洋画劇場らしさ

 地上波でブラックコメディ映画に触れる機会は少ない。多くの人が観る枠であるため、放送する映画には相応の配慮が発生するからだ。こうなるとブラックコメディは不利である。そこで「ちょっとブラックな」映画の出番である。冒頭で例に出した『星の王子』はニューヨークの治安悪いネタが大量に入っており、『アダムス・ファミリー』は「死」系の不謹慎ネタ、『永遠に美しく…』は人体がアレなことになるネタが多い。こうしたブラックなネタを織り交ぜつつ、最後は絶妙な塩梅でハッピーエンドを迎えるのだ。この「ちょっとブラックな」バランスを持った映画は少ないが、『ピーターラビット』は、まさにそういう映画なのである(ただしアレルギーをネタにした箇所があり、これは間違いだったと制作者が公式に謝罪しています)。

 本作は大前提として楽しいドタバタコメディだが、同時にちょっとブラックな笑いもたくさん仕込まれており、しっかりとした「テレビの洋画劇場らしさ」がある。まさに地上波の洋画劇場の醍醐味が味わえる作品だ。あの頃の「テレビ洋画劇場らしさ」を堪能したい人、必見である。ちなみに個人的にはニワトリが朝の鳴き声を発するたびに「何で朝が来るんだ!? また忌々しい1日が始まるのか!」と自分の人生にキレるネタが大好きです。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■放送情報
『ピーターラビット』
日本テレビ系にて、6月25日(金)21:00〜22:54放送
監督:ウィル・グラック
映画原案・脚本:ロブ・リーバー、ウィル・グラック
声の出演:千葉雄大、渋谷はるか、浅沼晋太郎、吉田ウーロン太、清水理沙、木下紗華、下田レイ、糸博、堀越真己、鈴木達央、小宮和枝、多田野曜平、千葉繁、神代知衣、斎藤寛仁、こばたけまさふみ、東地宏樹、雨蘭咲木子、青山穣、魚建、杉山滋美
ピーターラビット TM (c)2018 Columbia Pictures Industries, Inc., 2.0 Entertainment Financing, LLC and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved. | PETER RABBIT and all associated characters TM & (c)Frederick Warne & Co Limited.

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