長澤まさみがつなぐ2つの『ドラゴン桜』 鈴鹿央士演じる藤井の決断も胸に迫る

『ドラゴン桜』藤井の決断が胸に迫る

 第9話は直美(長澤まさみ)の回でもあった。2005年の前作で生徒だった直美は2つの『ドラゴン桜』をつなぐキャラクターだ。「高校って生徒たちが大人になった時に帰れる場所」と語る直美の心には、今でも龍山高校での日々が息づいている。そんな直美なので、龍海学園の売却問題にも我がことのように取り組む。だが状況は予断を許さない。東大専科が5人以上合格者を出せば、久美子(江口のりこ)は理事長を辞任しなければならず、学園はその歴史に幕を下ろす。直美は「母校ってそんな簡単に捨てられるものじゃないんです」と言って逆転のチャンスを探るが……。

 最終回を前に黒幕が勢ぞろいしたわけだが、罠にはまったようで最初から桜木と直美ははめられていた。悪役然とした久美子と奥田(山崎銀之丞)が実は味方で、味方と思っていた高原(及川光博)と香(早霧せいな)が敵というイメージを逆手にとった配役も効果的だった。話を戻すと、生徒のひたむきな向上心を利用する恭二郎(木場勝己)たちも許せないが、桜木の状況が文字通り絶体絶命。5人合格の公約を果たせば、龍海学園はなくなり桜木も仕事を失う。合格しなくても桜木の評判には傷がつく。どちらに転んでも桜木はダメージを負うことになる。

 生徒たちの未来と学園の存続、そして桜木の弁護士生命。複雑に絡み合った難問にヒントがあるとしたら、桜木が口にした合格者「7人」の種明かしと売却をメールで知らせた人間の正体だろう。はたして校庭のドラゴン桜が咲く時、学園は残っているのか? 生徒たちの努力によって、帰るべき場所が消えてしまうような事態にならないことを願うばかりだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、毎週日曜21:00~放送
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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