『ドラゴン桜』第2シリーズでの大きな変化 いつの時代も求められるのは“熱い説教”?

説教垂れるドラマはいつの時代にも響く?

 それから16年。『ドラゴン桜』第2シリーズの桜木は、第1話でいきなり長めの説教をする。相手は動画を使って桜木や水野直美(長澤まさみ)を陥れようとした小橋(西山潤)と岩井(西垣匠)だ。

「そんなことで大人を追い詰めた気になってるのか。お前ら、クソみたいな人生だな。クソみてえにプラプラしてる奴の目は、大人になっても腐ったままだ。人を叩き、罵り、そのくせ自分の権利ばかり主張して、真面目に生きている人間の足を引っ張る、クズみたいな大人に成り下がる。特にお前らみたいな人間はな、まっとうに生きてる人間を殺しかねねえ。おっかねえ時代だよなあ。あばよ!」


  桜木がここで語っているのは、受験のことでも東大合格のことでもなく、人としてどうあるべきかという正論だ。2人だけでなく、周囲に集まった生徒たちも意識した言葉である。

 さらに説教が爆発するのが第3話。まずは試験で惨敗したのにゴネまくる藤井遼(鈴鹿央士)に言葉の鉄槌を下し、返す刀で藤井や東大専科の生徒たちを嘲笑する野次馬の生徒たちに説教する。桜木は、世界が危機に瀕していること、この国が欲しているのは税金だということ、国は人々に何も知らない「バカ」でいてほしいと望んでいること、それでは権力者と同じ土俵に立てないことを熱く説き続ける。

「なぜ社会はこうなってるのか、誰がどんな意図でこの仕組みを作ったのか。本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ! そのとき初めて、馬車馬は人間になれる。そのためには勉強するしかねえんだ。勉強ってのはな、この国で許された唯一の平等なんだ!」

 若者を搾取しようとしている相手のことを「国」「権力者」とはっきり言っているのが印象的だった。ここから決めフレーズの「バカとブスこそ、東大に行け!」につながるのだが、前段がまっとうな正論だった分だけ、「ブス」というフレーズが浮いてしまっていた。

 第6話では、小杉麻里(志田彩良)の進学を許さず、DVまでしていた父親(迫田孝也)に強烈な説教をぶちかます。

「女に学歴は必要ない。そういう時代錯誤な奴っていうのは、自分のプライドを守るために古い考えに固執し、今の世界を見ようとしない! コンプレックスを持つのは結構、どうぞ勝手にやってくれ。だがな、そのちっぽけなプライドを守るために娘の自由を奪い、力づくで抑え込もうとする。そういう親こそ、本当のクズ親だと俺は思うがな!」

 ロジック相手の反論を完全に封じ込めるだけでなく、ここから娘がいかに父親のことを信じているかを語って泣かせに入り、家族を守るべき父親を叱咤し、最後に「もう彼女を自由にしてやれ。彼女は、小杉は、もうずっとあんたのことを信じてきたんだ!」と、とどめを刺す。もう小杉の父親は号泣して娘の進学を許すしかない。

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