岡田准一はなぜアクションを極めたのか 『ザ・ファブル』にみる、特異な俳優の才能

『ザ・ファブル』にみる、岡田准一の特異さ

 自身の著書『オカダのはなし』(マガジンハウス刊)で岡田は、格闘技を始めたきっかけはドラマ『SP』(フジテレビ系)と明かしている。世界中の格闘技・武術を調べ、なかでも接近戦の技があるフィリピンの伝統武術・カリを習い始めた。そこからジークンドー、修斗へと広げ、いまではインストラクター資格を複数取得するまでに。著書では、それらの武術を芝居に役立てるのはもちろんだが、身体を動かす技術を身につけないとスタッフと対等に仕事ができないとも綴っている。

 実際に、『ザ・ファブル』では岡田がリハーサル段階から入り、本番でもスタントマンをほぼ使わずに自ら演じたほか、共演者にもアクション指導を行った。2019年放送の『V6の愛なんだ2019』(TBS系)でも、学生に演技指導をするなど、映画作品であろうが、バラエティ番組であろうがアクションや演技に妥協しないのが岡田流だ。

 ドラマに映画とこれまで数々の作品に出演してきた岡田。コミカルな『木更津キャッツアイ』シリーズ(TBS系)から、『永遠の0』や『関ヶ原』など壮大なスケールで描かれた作品まで出演するなど、演じる役どころの年齢の振り幅のみならず、その出演作品も演技の幅の広さを証明している。岡田の演技の魅力といえば、やはり目力。特にセリフがないシーンでの目の動き、表情、佇まいには常に引き込まれてきた。

 さて、岡田は自身が出演した作品の完成披露試写会などの会見では、必ずといっていいほど共演者と笑いに溢れるトークを展開する。それは監督や共演者としっかりコミュニケーションをとってきた証だろう。誰よりも作品にのめり込む姿勢は、共演者はじめスタッフにも刺激をもたらしているのではないか。

 前述の『日曜日の初耳学』では、「一華開五葉」という言葉が好きだと語った岡田。「5個黒帯を持っていれば、人生楽しいと思っていて。5個極めようと決めたんですよね」と、現在インストラクターの資格を4つ保有していると話す。「44歳までにもう一個欲しいですね。5本のブラックベルトを、見えないブラックベルトを腹に巻きながら生きたいなと思っています」と抱負を語った。「本物になりたい」と目標を掲げた岡田の挑戦はこれからも続く。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

■放送情報
『ザ・ファブル』
日本テレビ系にて、6月18日(金)21:00〜22:54放送
原作:南勝久『ザ・ファブル』(講談社『ヤングマガジン』連載)
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、佐藤二朗、安田顕、佐藤浩市
監督:江口カン
脚本:渡辺雄介
(c)2019「ザ・ファブル」製作委員会

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる