『おかえりモネ』内野聖陽の“父”としての言葉が響く 三生、未知らが背負う“十字架”の重み

『おかえりモネ』耕治の“父”としての言葉

「オヤジが人生をかけてやってきた仕事の十字架を背負うことは重い。でもまあ、それ(道)を選ぶのは自分だ。がんばれ」

 時に、身内以外のこういう言葉の方が結構響いたりするものなのだよな、と思う。それ以上に、耕治の言葉が彼に響いたのは彼自身が自分の父・龍巳(藤竜也)の仕事を継がなかったからだ。彼の代わりに十字架を背負ったのが、紛れもない、未知なのだ。ここで、今週前半に熱心にカキの研究する未知や、彼女と龍巳の喧嘩の描写が生きてくる。

 未来を、進むべき道を選ぶのは自分。三生が受けたその言葉を、ともに噛み締める百音の脳裏には気象予報士と登米での仕事が浮かび上がったことだろう。

 様々な想いが交差した盆船奉納。しかし、そこに姿を表さなかった人物がいる。亮(永瀬廉)だ。実は彼は仮設住宅で酔い潰れ、警察の世話になっている父・新次(浅野忠信)を迎えに行っていたのだった。しかもこれは決して初めてのことではない。

 血が繋がっていないものの、本当の家族よりも強い絆と理解を示し合った永浦家と三生の関係性と対比して描かれる、亮と新次の関係性。亮もまた、十字架を背負う者なのだ。しかし、彼は三生のように簡単に未来を自分の意思で決められる立場と状況にいない。物事、そう簡単なことばかりではない。そんな光と影を巧みに使い分けながら、家族について考えさせられる第19話であった。

※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。湖畔でキャンプがしたい。InstagramTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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