『リコカツ』で“ザ嫌な女”役をまい進 田辺桃子が4月期連ドラ3作で見せるふり幅

『リコカツ』の“ザ嫌な女”田辺桃子の振り幅

 そんな“嫌な女”を好演している田辺だが、金曜夜放送の『リコカツ』から約1日時間を戻すと、テレビ東京系木ドラ24『ゆるキャン△2』では、ガラリと違った顔を見せる。

 2020年1月期にドラマ化され人気を博した『ゆるキャン△』は、女子高生たちがキャンプをする姿が描かれたほのぼのドラマだ。田辺は野外活動サークルの部長・大垣千明を演じている。千明は、本能のままに行動し突っ込みどころ満載であるにもかかわらず、相手にも突っ込みを入れる騒々しいキャラクター。前髪ぱっつんで丸眼鏡のいで立ちで、周囲が引くほど突っ走る姿は強烈で、『リコカツ』の一ノ瀬とは同一人物と認識できないほどだ。

『ゆるキャン△2』(c)ドラマ「ゆるキャン△」製作委員会

 こちらはコミックが原作ということで、もともとややデフォルメされたキャラクター設定だが、画面が切り替わる寸前まで余韻を残す細かい仕草や、ネタっぽい動きなど、原作ファンからも高い評価を受けており、田辺の芸達者ぶりが垣間見える。

 『ゆるキャン△2』から、さらに2日間ほど時を戻すと、MBS/TBSドラマイズム『ガールガンレディ』では、また田辺の違った顔に遭遇する。

 特撮のスペシャリストたちが製作陣に集まった本作は、ガールガンファイトという世界に召還された女子高生たちプレイヤーが、学校を舞台に、プラモデルの銃を使って生き残りをかけたサバイバルバトルに挑む姿が描かれる。

 田辺は、最も凶暴でサディスティックなチーム、デルタタンゴの1年生・東野菜月に扮する。菜月はセーラー服にベレー帽と清楚なチームユニフォームを身にまといながら、殺戮を繰り返すメンバーの先鋒的なキャラクター。『ゆるキャン△』の千明とは違った銀縁眼鏡で、人を騙すことが得意な知略家。お人好しで人を撃つことができない白石聖演じる主人公・立花小春の特性を利用し、陥れようとするずる賢さを持つ。

 このドラマでのビジュアルも、『リコカツ』や『ゆるキャン△』で見せる田辺とはまったく違う佇まいを見せており、ある意味で「どの顔が標準的な田辺なのだろうか」と思ってしまうぐらい、今クールで演じているキャラクターのふり幅はすごい。

 ある映像カメラマンが、良い女優の条件として、角度によって違う顔を見せる人はクリエイターの想像力を掻き立てると話していた。まさに1週間で3度も違う顔を楽しむことができる田辺の今後のさらなる活躍が非常に楽しみだ。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

『ゆるキャン△2』
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知にて、毎週木曜深夜0:30〜1:00放送
BSテレ東/BSテレ東4Kにて、毎週火曜深夜0:00〜0:30放送
放送終了後、Amazon Prime Videoでも配信
出演:福原遥、大原優乃、田辺桃子、箭内夢菜、志田彩良、石井杏奈、橋本じゅん、柳ゆり菜、土村芳
原作:『ゆるキャン△』あfろ(芳文社)
脚本:北川亜矢子
監督:二宮崇、吉野主、玉澤恭平
音楽:小田切大
主題歌:LONGMAN「Hello Youth」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
エンディングテーマ:門脇更紗 「わすれものをしないように」(ビクターエンタテインメント)
チーフプロデューサー:森田昇(テレビ東京)
プロデューサー:合田知弘(テレビ東京)、熊谷喜一(ヘッドクォーター)、岩倉達哉(SDP)
制作 : テレビ東京/SDP/ヘッドクォーター
製作著作 : ドラマ「ゆるキャン△」製作委員会
(c)ドラマ「ゆるキャン△」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/yurucamp/
公式Twitter:@yurucamp_drama
公式Instagram:@yurucamp_drama

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる