南沙良、目標の存在・新垣結衣に続くか? 『ドラゴン桜』はさらなる飛躍のきっかけに

南沙良、新垣結衣に続く?

 さて、そんな南の民放の連ドラ初出演作が、今作『ドラゴン桜』である。彼女が映画界に登場してきた頃からその動向を追っていた者にとって、今作はワンシーンたりとも見逃せない。毎週日曜の放送時間帯になると、居住まいを正し、テレビの前で微動だにしない、なんて方もいることだろう。筆者も同じような心持ちである。とはいえ、いまだそこまでドラマ内で南はフォーカスされていない。各話ごとに生徒役の誰かしらが中心となり、物語が展開する本作。南の演じる早瀬菜緒が“主役”となる回は、いつになるのだろうか。

 この早瀬という人物は、親の愛を受け、何不自由なく育った少女だ。“勉強が苦手”ということ以外には、これといって問題がないように思える。彼女にはほかの者たちのような“焦燥”や“熱意”というものがまだ表れていない。これがこの人物の特性なのだろうが、「私にはこれ(東大合格/勉強)しかない」という状況が生まれてこそ、キャラクターは色を発し、作品は“早瀬菜緒=南沙良”のカラーを反映させることになるだろう。つまり、追い込まれ、ひたむきになっていく姿に期待なのである。


 まだキャラクターというキャラクターが立っていない早瀬だが、これはつまり、これから何色にでも染まることができる可能性を秘めているものともいえる。テレビドラマにおいて未知数のポテンシャルを秘めるいまの南にピッタリだ。『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の公開の際、筆者はインタビューを担当したのだが(参考:南沙良×蒔田彩珠『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』対談 「2人なら大丈夫だと思っていた」)、その際に南は目標とする存在として新垣結衣の名を挙げていた。新垣といえばキャリア初期の頃に、『ドラゴン桜』第1シリーズ(2005年)に生徒役として出演し、ドラマの盛り上がりに大きく貢献した。あれから16年の時を経た、2021年現在の彼女の活躍ぶりは誰もが知るところだろう。やはり本作が南にとって、さらなる飛躍のきっかけとなりそうである。

※高橋海人の「高」は、正式には「はしごだか」。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、毎週日曜21:00~放送中
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(コルク)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美、小山正太
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる