『イチケイのカラス』竹野内豊演じる入間が正す“過去の誤ち” この先にはさらなる敵も?

『イチケイのカラス』入間たちにさらなる敵?

 とりわけ今回描かれたような無罪を争うケースであれば同条6項にある通り、「明らかな証拠をあらたに発見した」場合に限られる。劇中では前回のエピソードで描かれた、志摩の脱税によって明らかにされた被害者と志摩に明白な接点があったということだ。現実でも、このように無罪を争うための再審請求は数多くある。何度も請求を棄却され、30年以上経て再審無罪となった免田事件は最も有名なところであり、現在も袴田事件など再審開始を待つ事件がいくつもある。「真実を明らかにすることで、救われる人がいる」。だからこそ、劇中の仁科のように死後に無罪がわかることなど決してあってはならない。

 さて、証人として出廷した日高によって「裁判官失格」を言い渡され、完全に敗北したと思われた入間たちだったが、実はそれは次長検事の中森の口を割らせるために日高が仕掛けた“踏み絵”だったことがわかるクライマックス。自ら誤りを認め、裁判官の職を辞すると会見を開く日高。どこかあっさりした幕切れに思えてしまったが、直後の入間と坂間と日高の3人のシーンでその意味がよくわかる。「伝聞伝言伝達。もはやどこか定かじゃない“上”。いつか対決する日が来るかもね」。まだこの先に強大な敵が待ち受けているということか。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『イチケイのカラス』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:竹野内豊、黒木華、新田真剣佑、山崎育三郎、草刈民代、小日向文世、中村梅雀、升毅、桜井ユキ、水谷果穂ほか
原作:浅見理都
脚本:浜田秀哉
音楽:服部隆之
プロデュース:後藤博幸、有賀聡、橋爪駿輝
編成企画:高田雄貴
演出:田中亮、星野和成、森脇智延、並木道子
制作協力:ケイファクトリー
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ichikei/
公式Twitter:@ichikei_cx

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