コタローのツンデレも発動! 『コタローは1人暮らし』はすべての大人必見のドラマだ

『コタローは1人暮らし』は全ての大人必見!

 「こどもまつり」当日。「アパートの清水」の住民たちと綾乃が駆け付け、まつりを盛り上げる。その様子を見回すコタローの顔は、どこか嬉しそうで誇らしげだ。狩野は裏方として奔走し、花輪先生(西畑大吾)に後悔の念をこぼしつつも「あいつ(コタロー)嬉しそうなんで別にいいんですけど」と、コタローを見つめる。まだまだぶっきらぼうで、ときに分かりにくいけれど、狩野はいつでもコタローを第一に考えているのだと伝わる言葉だった。

 それでも「本当の親がそばにいればもっとよかったんじゃないですかね」とつぶやくシーン。園児たちがそれぞれ親のもとへと走っていき、楽しそうにはしゃぐ姿と、園庭にひとり佇むコタローの姿とのコントラストが印象的だった。コタローは嬉しいとき、誰のもとに走り、誰と手を繋ぎたいだろう。今日のこの楽しい1日を、誰に伝えたいだろう。綾乃に渡す1週間分の届かぬ日記に、コタローは今日のことを書くのだろうか。そう考えると、ふと切なくなった。

 しかし今回、センチメンタルは不要だった。たくさんの園児から慕われ、囲まれる狩野の姿をじーっと見つめるコタロー。帰宅後、なんだかふてくされた様子だ。

「わらわの友達と、ずいぶんワイワイしていたであるな」
「おぬしはわらわの保護者ではないのか」

 三角座りで小さくなり、ごにょごにょとつぶやくコタロー。初めて見せたかわいいやきもちに、狩野はまんざらでもない様子だ。並んで座る、2人のやりとりが愛おしい。今日の楽しい1日も、子どもっぽくいじけるコタローの姿も、いつだって『アパートの清水』の住民たちと綾乃が見ている。「楽しいか?」「幸せか?」と、コタローには気付かれぬようそっと確かめながら。

 気がかりは、冒頭から何度もコタローの姿を捉えていたカメラ。そして、1カ月という期限付きで「アパートの清水」に越してきた青田(間宮祥太朗)の登場だ。物腰が柔らかいようでいて、その笑顔にはどこか怪しさを感じる。次回は波乱の予感だ。それでもコタローと関わった以上、青田もまた最後には、優しい大人であってほしいと願う。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter

■放送情報
『コタローは1人暮らし』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:横山裕、川原瑛都、山本舞香、西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、生瀬勝久、光石研、峯村リエ、大倉孝二、イッセー尾形、出口夏希
原作:津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館)(『ビッグコミックスペリオール』で連載中)
脚本:衛藤凛
音楽:篠田大介
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
監督:松本佳奈 ほか
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
(c)津村マミ/小学館(『ビッグコミックスペリオール』連載中) (c)テレビ朝日

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