『きれいのくに』の世界観を生み出す独特の台詞回し “中途半端”を表現した青木柚の好演も

『きれいのくに』の独特の台詞回し

 これは以前から感じていたことなのだが、『きれいのくに』で展開されるのは、あえて余計な部分を残したリアリティーを持った会話である。引っかかりを感じたのは第3話より登場した誠也たちの担任が頻繁に使う「あれ」という単語。抽象的かつこの担任の場合、何を言ってるのか伝わらないくらいに曖昧な言葉だが、アンテナを張っていると貴志(山脇辰哉)をはじめとした生徒たちも自然に使っていることに気づく。誠也であれば口癖のように使われている「いや」という言葉がアクセントとなって彼らが生きる日常を覗き見している感覚を我々に味わわせている。ほかのドラマであれば削ぎ取るであろうセリフが、『きれいのくに』では隠し調味料のようにふんだんに使用されている。

 れいら、誠也ときて、第6話で中心人物となるのは凜。約束をキャンセルされた誠也がれいらと一緒にいるところを目撃してしまった凜は傷ついていた。顔のコンプレックスの悩みが膨れ上がった凜はパパ活に手を染めていく。さらにあの映画監督(稲垣吾郎)、啓発映画に出演していた安藤(小野花梨)も再登場する。そして、凜はパパ活相手・千葉(山中崇)の「裏整形って興味ある?」の誘いから闇世界に足を踏み入れることとなる。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
よるドラ『きれいのくに』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜放送【全8回】
出演:吉田羊、蓮佛美沙子、平原テツ、小野花梨、橋本淳、加藤ローサ、青木柚、見上愛、岡本夏美、山脇辰哉、秋元龍太朗、稲垣吾郎
作:加藤拓也
音楽:蓮沼執太
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:小西千栄子 高橋優香子
演出:西村武五郎、鹿島悠、田中陽児、加藤拓也
写真提供=NHK

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