成田凌、若葉竜也らがインパクトを残す 『おちょやん』杉咲花の輝きを影で支えた俳優たち

成田凌ら『おちょやん』を影で支えた俳優たち

千代の“息子がわり”松島寛治(前田旺志郎)

 ある日突然、鶴亀家庭劇に転がり込んできたかと思えば、千代・一平夫婦と共に暮らすことになった寛治。育った家庭環境が千代や一平の境遇と似ていた背景があり、千代と一平夫婦に子供がなかったことも後押しして、家族のような存在になっていった。最後は本当の親子のように強い絆で結ばれ、千代の身を案じ、慕いながらも一平と共に劇団員として活動するなど頼もしい成長を遂げる。兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」の弟、前田旺志郎の演じた茶目っ気たっぷりのやんちゃな寛治は、まさに「わんぱく坊や」そのもの。問題行動で千代らを心配させることもあったが、物語の終盤では一平に喝を入れて目を覚まさせた張本人でもある。

千代の“名パートナー”花車当郎(塚地武雅)

 戦時中、防空壕の中で偶然千代と出会ったことをきっかけに、後にラジオドラマ「お父さんはお人好し」で夫婦役として再会を果たしたのが花車当郎だ。お笑い芸人の塚地武雅がしゃべくり漫才師を演じたことで絶妙なテンポと元来の笑いのセンスをふんだんに発揮する唯一無二のキャラクターとなった。『おちょやん』の後半戦を引っ張る立役者として、芝居の世界から遠のいていた千代を再び引き戻した人物でもある。大柄な体に明るい表情、ラジオドラマでは「花車当郎でござります〜」と元気よく登場する姿など、その場にいるだけでパッと華やぐ存在は、千代の葛藤をも吹き飛ばし、新たな一歩へと背中を押す。そんな当郎は視聴者にとっても朝の活力になったのではないだろうか。お笑い芸人を本職とする塚地だからこそ出せた勢いと、底抜けの明るさだったろう。

 多くの名キャラクターが登場した『おちょやん』もとうとう最終回を迎える。コロナ禍の今こそ、笑いの力でお茶の間の朝を明るく照らした『おちょやん』は、より強く心に響いたことだろう。あなたにとって一番心に残るキャラクターはいったい誰だっただろうか。改めて『おちょやん』を振り返り、余韻にひたりたいところだ。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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