『鬼滅の刃』全米席巻! 外国語映画オープニング歴代1位の本当の意義

『鬼滅の刃』外国語映画OP歴代1位の意義

 『鬼滅の刃』の北米興行で注目すべきは、共同配給としてアニプレックスの子会社、アニプレックス・アメリカが入っていること。つまり、これまでの多くの日本映画のように海外では配給権を売って、そこでどんなにヒットしたとしても収益のほとんどは現地の配給元に入る、という構造を変革した上で、歴史的な成功を収めたわけだ。ちなみに、アメリカで『鬼滅の刃』はR指定(17歳未満は保護者同伴)を受けている。

 先週の全米興収ランキングを改めて見渡すと、1位の『モータルコンバット』と3位の『ゴジラvsコング』はストリーミングサービスのHBO Maxで同時配信されているワーナー配給作品。そして2位の『鬼滅の刃』がアニプレックス・アメリカとファニメーション・エンターテインメントの共同配給作品。パンデミックによる主要都市の約1年間に及ぶ劇場閉鎖を経て、アメリカも映画興行のあり方そのものが大きく変化していることがわかる。まあ、アメリカと比べて感染者数も死者も桁違いに少なかったはずの日本は、変化を云々する以前に、主要都市ではまた劇場閉鎖期間へと戻ってしまったわけだが……。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
全国公開中
声の出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔、石田彰
原作:吾峠呼世晴(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二、矢中勝、樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:LiSA「炎」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com
公式Twitter:@kimetsu_off

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