『仮面ライダー』50周年企画は“挑戦の連続”の歴史を象徴? 対象年齢の変化を追う

『仮面ライダー』対象年齢の変化を追う

 日本の等身大特撮ヒーローを牽引し、昭和から平成、令和までシリーズが続いている『仮面ライダー』(1971年)が、今年で50周年を迎える。半世紀にわたるシリーズのアニバーサリーイヤーを盛り上げるべく、制作会社の東映から3つのプロジェクトが発表されたのは記憶に新しいところだ。まずプロジェクト1がアニメ作品『風都探偵』、プロジェクト2が実写作品『仮面ライダーBLACK SUN』、そしてプロジェクト3が映画『シン・仮面ライダー』だ。

 『風都探偵』は、青年誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』で2014年より連載が始まった漫画で、テレビ特撮『仮面ライダーW(ダブル)』(2009年)の直接の続編。2021年春の時点で単行本が10巻まで刊行されている。『仮面ライダーW』の塚田英明プロデューサーと、脚本家の三条陸が、それぞれ監修と脚本に関わることで、漫画になっても登場人物の台詞や描き方に違和感を持たれないような作りになっているのがポイントだ。アニメのスタッフ、キャストは明かされていないが、公開は2022年夏に配信と発表されている。

 『仮面ライダーBLACK SUN』は、1987年に放送された『仮面ライダーBLACK』のリブート企画。敵味方に分かれた親友同士が戦う、過酷で孤独なヒーロー像を描いた『仮面ライダーBLACK』が、35年ぶりに新解釈で蘇ることになる。2022年夏より展開予定。『仮面ライダーBLACK SUN』の監督を務める白石和彌はこれまでに、『サニー/32』(2018年)や『麻雀放浪記2020』(2019年)など、映倫で年齢制限付きの審査を受けるほど過激で毒のある映画を送り出しており、本作の製作発表に際しても「日本のヒーロー史に新たな爪痕を残せるように頑張ります」とコメントを出している。歴代仮面ライダーシリーズの中でもひと際、孤独さと苛烈さを漂わせている『仮面ライダーBLACK』を、どうアレンジするか注目したい。

 仮面ライダー50周年企画の3つのプロジェクトの中でもっとも大きな反響を呼んだ『シン・仮面ライダー』は、庵野秀明が監督と脚本を兼任する。これでゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーと、日本が誇る有名特撮ジャンル3つを制覇することになったわけだ。『シン・仮面ライダー』は庵野監督が以前より温めていた企画ということだが、コロナ禍の影響を受けて来年公開には間に合わず、2023年3月公開と発表されている。かつての『シン・ゴジラ』(2016年)や、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)がそうであったように、公開直前まで内容は秘密主義で進められることが予想されるが、特撮ファンとしても知られる庵野監督が初めて撮る仮面ライダーには、今から大きな期待が寄せられている。

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