『リコカツ』離婚で初めて気づく存在の大きさ 永山瑛太と北川景子の掛け合いにも注目

『リコカツ』離婚で初めて気づく存在の大きさ

 咲が現実と理想のギャップを嘆きながら「結婚って一番の味方でいてくれる人がずっと一緒なんて最強だと思ってたのに」とポツリとこぼすシーンがあったが、すでに“灯台下暗し”になりつつあるのではないだろうか。そして咲もそれに気づき始めているものの、今さら引き返せない思いもあって強がってしまっている部分もあるのだろう。紘一にバーベキューに戻ってくれた理由を聞かれた際に「あなたに借りを作りたくなかったから」と答えた後、自身の中で湧いてきた“それだけではない想い”を打ち消しているかのようだった。

 冒頭のやり取りでも「私たち離婚するのに?」と事あるごとに問いかけるのも、彼からの「考え直してくれないか」「俺は離婚したくない」という答えを少し期待しているようなタイミングもありそうだ。

 キャンプ場で迷い込んでしまった咲を見つけ出し、抱きしめるシーンなんかは、2人の初対面シーンである“雪山で遭難した咲の紘一による救出劇”を再びなぞるかのような展開だった。

 北川といえば、最近ではバリキャリ役がすっかり板についており、映画『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』での刑事役、『ファーストラヴ』での公認心理師役に続き、本作でもファッション雑誌編集者を好演している。何より『家売るオンナ』(日本テレビ系)で演じた不動産スーパー営業マン役では、彼女のコメディエンヌとしての才がいかんなく発揮され、強烈なインパクトと、癖になるようなキャラクターへの愛着を観る者に見事植えつけてくれた。本作での役どころも、永山瑛太の見事なまでのキャラクターの作り込み、仕上げっぷりが凄まじいが、その隣にいながらあのペースに飲み込まれずやり合えるのは北川だからこそだろう。

 緒原家の“甘い味付けの卵焼き”にまつわるちょっぴり切ない、だけれどもきっと多くの家庭に眠っているだろう秘密が明かされたが、次週は咲の両親のリコカツも動きを見せそうだ。さらに、紘一とすでにジムで顔見知りになっている咲の元カレ・貴也(高橋光臣)も加わり恋の三角関係も見られるようで、楽しみだ。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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