『コナン』シリーズ最高オープニング記録の一方、再び失われる「ゴールデンウィーク」

再び失われる「ゴールデンウィーク」

 コロナ禍に入ってから1年以上続くエンターテインメント産業への無理解、2回目の緊急事態宣言解除からの極端に短い期間での方針転換、他国と比べてのワクチン接種の信じられないほどの遅れ、それでもオリンピック開催を強行する流れなど、現状、不満と憤りを覚えている映画関係者は多い。映画興行を含むエンターテインメント関連業種への具体的な要請が示されていない以上、このタイミングで何かのコメントをするのは難しいが、補償もまったく期待できないまま業界全体で足並みを揃えて要請にただ従うだけの段階は、もうとっくに過ぎたのではないか。

 そもそも「ゴールデンウィーク」という言葉は、1951年に大映の専務取締役である松山英夫氏がこの時期に公開される作品の宣伝コピーとして発案した映画業界用語。以来、映画興行にとっては正月、夏休みと並ぶ書き入れ時として長らく定着してきた。ワクチン接種の広がりとともに平常化に向けて着実に動き出している国も少なくない中、日本では2年連続でその「ゴールデンウィーク」が事実上吹っ飛ぶことになりそうだ。本日、東京の渋谷で26年間(映画館としての業態としては17年間)営業を続けてきたアップリンク渋谷は、今年の5月20日で閉館することを発表した。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
全国東宝系にて公開中
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:永岡智佳
脚本:櫻井武晴
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一ほか
スペシャルゲスト:浜辺美波
主題歌:東京事変「永遠の不在証明」
配給:東宝 
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント 
(c)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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