『ジョジョの奇妙な冒険』第6部アニメ化は期待しかない! 第1部から受け継がれていく魂

 “ジョジョ立ち”に代表されるポージングや「じゃあないかッ!」と言った言い回し、擬音までをも完全に再現。アニメならではの「シーン特色」や物語の大胆な再構成、オリジナルシーンを加えることで、原作とはまた別ベクトルの魅力を持った『ジョジョ』へと昇華させていった。これは配信イベントを観ていて改めて感じたことでもあるが、キャラクターを演じている声優陣の演技もその「昇華」を後押ししている大きな要素だ。

 ジョセフ・ジョースター役の杉田智和による「シーザーの死」の生アフレコには思わずエシディシのように大粒の涙をポロポロと流してしまった。また、小野賢章が演じるジョルノ・ジョバァーナのチョコラータに向けた30秒にもわたる無駄無駄ラッシュは、頭の中で緻密にページ構成、カウントをしながらアフレコに挑んだというエピソードには驚愕するばかりであった。

 そんな声優としてのジョースターの意志を新たに受け継ぐのは、空条徐倫役のファイルーズあい。『ジョジョの奇妙な冒険』が声優を目指したきっかけであり、人生でつらい時には『ジョジョ』に救われてきたという生粋のジョジョファン。イベントに登場したファイルーズからは、「時が止まったように」「ありのまま今起こった事を話すぜ」「スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃」「プレッシャアーッ」と誰もが知る名言から少々マニアックな擬音までが飛び出す始末。「人が人を選ぶにあたって最も大切なのは『信頼』」をそのジョジョ愛で勝ち得た瞬間だ。

 「受け継がれる魂」とは『ジョジョ』における大きなテーマでもあるが、声優陣においてもその魂は継承されている。第3部『スターダストクルセイダース』にジョセフ・ジョースターを演じる杉田智和が、第4部『ダイヤモンドは砕けない』に空条承太郎を演じる小野大輔が、第5部『黄金の風』に広瀬康一を演じる梶裕貴がそれぞれ部跨ぎで出演しているからだ。そして、第6部『ストーンオーシャン』にも空条承太郎が、さらに回想シーンにはDIOが登場する。まだキャストが正式発表されていないので明言は出来ないものの、魂が受け継がれることは「『ジョー・モンタナ』の投げるタッチダウンパスのように確実」である。

 ここからは個人的主観になるが、『ストーンオーシャン』アニメ化において少々心配な部分も有る。それはグロテスクかつエロティックな描写や表現、著作権的にギリギリなエピソードが多く存在しているからだ。けれど、第4部の吉良吉影が思春期に見たモナリザへのあの卑猥な言葉や「グロ注意ッ! グロ注意ッ!」な「輪切りのソルベ」など、本当にアニメ化できるのか……? と心配になるシーンも、逆にオリジナルシーンを加えて、「おれたちにできない事を平然とやってのけ」てきた。ほかにも、DIOが「最も『弱い』」と認めるスタンド「サバイバー」による生々しい肉弾戦や「重力」に導かれるあの最終決戦をどのように描くのか。これまでのアニメシリーズを超越した表現が見られる予感がする。

 小野大輔は第6部アニメ化の報せを受けて、『ストーンオーシャン』を読み返している際に、承太郎の何気ない会話の中にある「人の心に何かを伝えるということはすばらしい事だ」というセリフが心に留まったと話していた。『ストーンオーシャン』は第1部『ファントムブラッド』から続く、人間讃歌の物語。徐倫や承太郎だけでなく、エルメェス・コステロやフー・ファイターズ、ウェザー・リポート、アナスイ、エンポリオなど魅力的なキャラクターが多く登場する。『ストーンオーシャン』の放送開始時期はいまだ未定であるが、それまでは小野のように原作を読み返して(もちろんこのタイミングで初めて読むのもベネ)「天国」への時を待とうじゃあないかッ!

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■作品情報
『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』
原作:荒木飛呂彦原作『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)
声の出演:ファイルーズあいほか
(c)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SO製作委員会
ティザーサイト:https://jojo-portal-anime.com/
公式Twitter:@anime_jojo

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