宇野維正の興行ランキング一刀両断!

予想大外れ、興収100億に届きそうにない『シン・エヴァ』 反省しつつその理由を分析

 先週末の動員ランキングは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、土日2日間で動員32万9999人、興収5億2801万7500円をあげて、初登場2位の『モンスターハンター』にダブルスコア以上の差をつけて3週連続1位に。前週の週末との興収比では約78%と、新たな来場者プレゼントの効果もあって下げ止まりの傾向も見られ、3月28日までの21日間の累計では動員396万1480人、興収60億7821万1750円を記録している。

 さて、『シン・エヴァ』については、第一報として公開日翌日に書いた3週前に「『シン・エヴァ』、緊急事態宣言下ながら興収100億円超え確実のロケットスタート」と冠した予想記事をアップしてしまった以上、そろそろ落とし前をつけなくてはいけない。「興収100億円超え」の可能性はまだわずかに残っているものの、「確実」はやはり言い過ぎだった。さらに、その文中ではこっそり(と言いつつ、しっかり各所でつっこまれたが)「最終興収は160億円あたりになると予想する」とまで書いてしまっていた。すみません。完全に予想が外れました。今後も謙虚に精進いたします。

 どうしてそんなに派手に予想を外してしまったのか? もう、これは初日に劇場で作品を観て、その興奮状態のまま記事を書いてしまったからとしか言いようがないのだが、その根拠というか見苦しい言い訳を自戒のためにもここに残しておきたい。

 まずは配給の形態。「新劇場版」4作品とも自社のカラーが共同配給というかたちをとって、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』と『破』ではクロックワークスが、『Q』ではティ・ジョイがそのパートナーとなっていたが、今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は東宝と東映を共同配給のパートナーにするという前例のないアクロバティックな体制を構築。これは、庵野秀明やカラーというより、東宝や東映から大台の興収100億超えが期待されているからこそ実現したものなのだと自分は理解した。

 また、『シン・エヴァ』の公開日は年明けの2度目の緊急事態宣言を受けて、最終的に1月23日から3月8日へと変更となったが、これは最初の週にコアな客層が押しかけて、そのままより一般の客層を中心とする春休み興行につながるという意味で、怪我の功名となるのではないかと思った。折りしも、昨年10月から『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的興行が続いていて、ちょうど『シン・エヴァ』の公開がズレたことでそのあいだに入るかたちで、『花束みたいな恋をした』が6週連続1位という異例のヒットを飛ばしていた。それら1位の作品だけを見れば、すっかり映画興行全体が復活を遂げているようにも見えたかもしれないが、実はこの半年間は予想外の苦戦をしている作品も多く、コロナ禍の映画興行においては一つの作品に人気が一極集中する傾向がはっきりとあった。したがって、次にその「一極集中」の枠にすっぽりと収まるのが『シン・エヴァ』だと予想したのだ。それは、同作の思いのほか心地良い余韻が残る作品のラストを公開初日に体験して、確信に変わった。