『俺の家の話』ドラマ史に残る最終回 宮藤官九郎から“俳優”長瀬智也に捧げられた敬意と愛

『俺の家の話』ドラマ史に残る最終回に

 寿三郎を支えるために、寿一の死を急速に受け入れなくてはいけなかったきょうだい3人が涙するシーンでは、食卓の寿一の席にもきちんと飲み物と取り皿が用意されている。墓前で寿一の幻影に出会い、山賊抱きされるさくら。追悼試合が描かれるエピローグでブリザード寿にラリアットを喰らいダウンする長州力。誰だって身近な人がいなくなることは簡単に受け入れられるものではないし、たとえ受け入れたとしてもどこかでまた会えることを期待してしまうものだ。もう誰もマスクをしていない2022年4月のシーンで、さくらが問いかける「本当にこれでいいの?」の言葉に、寿一は「俺は、俺の家が大丈夫なら、大丈夫なんで」と返す。この言葉にはその字面だけにとどまらない無数の意味と、宮藤官九郎と長瀬智也の友情と共闘の歴史が確かに刻まれていたように思える。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■配信情報
金曜ドラマ『俺の家の話』
Paraviにて全話配信中
出演:長瀬智也、戸田恵梨香、永山絢斗、江口のりこ、井之脇海、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、羽村仁成(ジャニーズJr.)、荒川良々、三宅弘城、平岩紙、秋山竜次、桐谷健太、西田敏行
脚本:宮藤官九郎
演出:金子文紀、山室大輔、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:勝野逸未
編成:松本友香、高市廉
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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