星田英利演じる千之助が初めて見せた本音 『おちょやん』が描く“捨てられた”者たちの絆

『おちょやん』千之助が初めて見せた本音

 その出来の良さは千代をはじめとした一座の反応からも見て取れる。「女の役者なんぞ」と千之助から見下されていたルリ子(明日海りお)、香里(松本妃代)も、その台本を読んで一座に戻ってくるほどだ。千之助は2人と千代にも礼を言い、鶴亀家庭劇は再び一つに。万太郎一座との一騎打ちがついに幕を開けようとしている。

 千代はテルヲ(トータス松本)に、一平は夕(板谷由夏)に、そして千之助は万太郎にそれぞれ見捨てられてきた。千代と一平が心の奥底では自分は一人だと思い込んでいたように、千之助もまた百久利(坂口涼太郎)という弟分がいても、満たされない思いがあったのかもしれない。その心の奥底に溜まった泥を掬ってくれたのが、一平であり千代。「だんない。千之助さんの後ろにはうちらがいてる」というナレーションには、そんな千代の思いが表れている。


■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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