『監察医 朝顔』が向き合う東日本大震災からの10年 上野樹里×柄本明の息を呑む芝居

『監察医 朝顔』が描く3・11からの10年

 この言葉が意味するのは、「孤独編」は平(時任三郎)や桑原(風間俊介)だけでなく、浩之もその物語の中にいたということ。劇中では朝顔をはじめ、平やつぐみらが浩之に何度も会いに来ていたが、10年間という年月を考えると一人の時間の方が圧倒的に長かったであろう。その寂しさを紛らわしてくれたのが、仏壇の引き出しにそっと入れていた、あの歯だった。優しい嘘で取り繕って、浩之は満面の笑みを浮かべただろうか。

 その答えはもう分かりはしないが、誰も一人にしてはいけないというメッセージだけは痛いほどに理解できる。とは言え、朝顔にも生活がある。浩之を一人にしてしまったというのは、今になって気づいたことであり、解決の難しい、現実的にも多く起こっているであろう問題である。

 第17話では、ついに里子の骨が遠く離れた青森の地で見つかる。里子を抱きしめ、むせび泣く平。雪の降る青森からそのまま朝顔と平は里子と3人で故郷の仙ノ浦へ。娘との再会に浩之は何を思うのか。3月11日を前に『監察医 朝顔』が放つメッセージとは。

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■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~放送
(2020年秋・2021年冬2クール連続)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES)、藤原季節、斉藤陽一郎、坂ノ上茜、田川隼嗣、宮本茉由、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、加藤柚凪、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、杉本哲太、板尾創路、山口智子、柄本明ほか
原作:『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、阿部雅和
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao2/

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