小芝風花主演『モコミ』が説く親子関係の難しさ 母・千華子を縛る世間の目という“呪い”

小芝風花『モコミ』が説く親子関係の難しさ

 それでも正座して涙ながらに謝罪する千華子の姿はこれまでのような一方的な物言いでも、押しつけがましさもなく、いつものともすれば高圧的にも見える態度や威厳は皆無で、少し小さく見えた。「萌子美の時間を奪ってごめんね。小さい頃から人と比べて違うと、変だ、おかしいと思って、直さなきゃって思ってきた。人とのコミュニケーションが苦手って決め付けて(中略)何にもわかってなかった。お母さんが萌子美の一番の理解者だって本気で思ってた」。ただ、彼女の言葉には「私が娘の個性を認めてさえいれば本当であれば、娘は学校にも行けて、引きこもりにもならず、そうしたら今頃は他の子と変わらない人生を歩めていたのかもしれない」というようなニュアンスも含まれており、それを敏感に察知した祖父や萌子美に「この10年間は無駄じゃなかった。自分とたくさん対話する時間を持てたことで花を好きになれたし、これからも自分にしか作れない世界観を作っていくから」と諭される。きっとこの言葉の本当の意味を千華子はこれから徐々にゆっくりと咀嚼していくのだろう。

 ちなみに、この様々な“呪い”に絡め取られていた母親役を演じる富田靖子は、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)では主人公が働く製薬会社の女性支店長役を演じており、そこでは従来の働き方からの積極的に改革を進めようとする上司役を好演。本作で見せる千華子とは全く違った顔を見せていた。

 次週は兄の俊祐(工藤阿須加)の心に巣食うかなり根深い闇の正体が明かされそうだ。その一方、萌子美が岸田佑矢(加藤清史郎)を自宅に連れてくるという急展開が清水家を待ち受けているようでさらに見応えのある回となりそうだ。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:小芝風花、加藤清史郎、工藤阿須加、田辺誠一、富田靖子、橋爪功、水沢エレナ、内藤理沙ほか
脚本:橋部敦子
演出:竹園元(テレビ朝日)、常廣丈太(テレビ朝日)、鎌田敏明
音楽プロデュース:S.E.N.S. Company
音楽:森英治
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:竹園元、中込卓也(テレビ朝日)、布施等(MMJ)
制作著作:テレビ朝日
制作協力:メディアミックス・ジャパン(MMJ)
企画協力:オスカープロモーション
(c)テレビ朝日

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる