NYの映画館再開、マーベルの新スケジュール確定 遂にハリウッドはトンネルを抜ける?

遂にハリウッドはトンネルを抜ける?

 『ワンダヴィジョン』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』、『Spider-Man: No Way Home(原題)』の他にも、映画では『ブラック・ウィドウ』(4月29日、日本公開予定)、『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings(原題)』(7月9日、全米公開予定)、『Eternals(原題)』(11月5日、全米公開予定)の公開、テレビシリーズでは『 What If...?(原題)』、『Ms. Marvel(原題)』、『Hawkeye(原題)』の配信を控えている2021年のマーベル・シネマティック・ユニバース。パンデミック下における撮影環境や撮影スケジュールの問題もあるので、配信作品に関しては2022年に先送りになる作品も出てくるかもしれないが、特に映画作品に関しては4つ先の作品である『Spider-Man: No Way Home(原題)』の「12月17日」という公開日がリコンファームされたことで、それまでに『ブラック・ウィドウ』と『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings』と『Eternals』の3作品はなんとしてでも公開しないと、綿密に構築されたユニバース全体が崩壊してしまうかもしれない。

 『ワンダヴィジョン』の視聴者なら身に沁みて感じているはずだが、マーベル・シネマティック・ユニバースに「スピンオフ」という概念はない。ここからのさらなるスケジュール変更は、作品の内容にも大きく関わってくる問題となる。『ロキ』は、『ブラック・ウィドウ』が劇場公開された後に配信されなくてはいけないのだ。また、『ムーラン』や『ソウルフル・ワールド』の急転直下でのディズニープラス独占公開によってすっかり世界中の興行関係者からの信頼を失ってしまったディズニーだが、マーベル・スタジオを統括しているケヴィン・ファイギは、マーベル・シネマティック・ユニバースの映画作品に関しては、ディズニープラスではなく映画館での公開を死守することを強く主張しているという。果たしてゴールデンウィークに本当に『ブラック・ウィドウ』を映画館で観ることができるのか? 「その可能性は高まった」と自分は見ている。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『ブラック・ウィドウ』
4月29日(木・祝)公開
監督:ケイト・ショートランド
出演:スカーレット・ヨハンソン、レイチェル・ワイズ、フローレンス・ピュー、デヴィッド・ハーバー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2020

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