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ザック・スナイダー版『ジャスティス・リーグ』で関心が集まる、日本の「HBO Max問題」

 『花束みたいな恋をした』の勢いが止まらない。これで3週連続1位となった同作の先週末土日2日間の成績は、動員14万4000人、興収1億9900万円。公開初週の土日は動員13万3000人、興収1億9100万円。2週目の土日は動員15万4000人、興収2億2200万円。つまり、これで2週連続で初週の成績を超えるという異例の推移となっている。新型コロナウイルスの感染拡大以降、映画館でのヒット作を支えてきたのは10代20代の若い観客だったが、『花束みたいな恋をした』も配給元が想定していたよりも若い客層に広がっているとのこと。本作もまた、「ウィズ・コロナ」時代を代表するヒット作の一つとなりそうだ。

 先週の本コラム(参考:『ゴジラvsコング』の日本公開が5月14日に決定! ゴジラとウルトラマンに挟まれたエヴァはどうなる!?)では、『ゴジラvsコング』を巡っての、アメリカのワーナー・ブラザース及びHBO Maxの慌ただしい動きと、それを受けての日本における劇場公開の決定について取り上げたが、今回もワーナー・ブラザース及びHBO Max関連の動きについて取り上げたい。というのも、ようやくここにきて「HBO Max問題」について、ここ日本でも多くの人々の関心が集まっているからだ。

 そのきっかけとなったのは、2月14日にかねてから噂されていたザック・スナイダー版『ジャスティス・リーグ』、通称「スナイダー・カット」の予告編がリリースされたことだ。アメリカで3月18日にHBO Max独占配信となる同作は、2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』の別バーション。2017年版『ジャスティス・リーグ』は撮影途中にザック・スナイダー監督が一身上の都合で降板、ジョス・ウェドン監督によって仕上げられたが、今回配信されるスナイダー版はR指定(2017年版はPG13指定)、約240分(2017年版は120分)、2017年版には登場しなかったジョーカー(ジャレッド・レト)のほか、ダークサイドやデサードといったヴィランが登場し、新規撮影シーンも含む、もはやまったく別の作品になっているという。

 DC作品は世界的に熱心なファンが多いことで知られているが、それは日本も同様。本作の予告編がネット上で公開されると、多くのファンが「日本でいつ観ることができるのか?」という声を上げることとなった。ちなみに現在(2月18日)のところ、日本のワーナー・ブラザースやDC公式アカウントからは何のアナウンスもされていない。

 実はこの「HBO Max問題」は、日本だけのことではない。現在、HBO Maxのサービスが始まっているのはアメリカ国内のみ。アメリカのお隣のカナダでも、ヨーロッパ各国でも、まだ始まっていないのだ。現時点では2021年6月からラテンアメリカ地域でのサービスが開始されることが正式に発表されていて、ヨーロッパの一部の地域では2021年秋にサービスが開始されると言われている。DCの新作、それもある意味で通常のユニバース作品以上にファンの関心が高い「スナイダー・カット」がこのような状況下でアメリカ国内のみで配信されるのは、権利元の機会損失という意味においても、ポップカルチャーにおける世界的な重要作の扱いという意味においても、やはり首を傾げざるを得ない。