こんな新婚生活は逃げ出す!? 河北麻友子が語る、悲鳴を上げながらハマった『THE GREAT』

河北麻友子が『THE GREAT』を語る

エカチェリーナとピョートル夫妻の関係性 「寄り添わないのが新鮮」

 エカチェリーナは、夢を持ってロシアに嫁いできた。お見合い結婚とはいえ、夫のピョートルとの愛に溢れたロマンチックな新婚生活を思い描いて。しかし、そんな彼女の淡い期待は、初夜にぶち壊される。彼らは水と油といっていいほど、価値観も趣味も一切合わなかった。そんな二人の関係性を、河北はこう語る。

「二人とも真逆のタイプですよね。一人は絵に描いたような心優しいプリンセスタイプで、もう一人は絵に描いたような最低男。私は、エカチェリーナがディズニープリンセスのベルに似ていると思うんです。ベルみたいに頭も良くて夢みがちで、ロマンチストで、強い女性で……。だから、この最低男とどう結ばれるのかと思いきや、全く違う方向に向かっていくので、ラブストーリーのように始まるけれど、その“寄り添わなさ”が新鮮でした。昔の作品やドラマの舞台である18世紀だと、女性のエカチェリーナ側が夫に寄り添って、だんだんと彼色に染まっていくような傾向の作品が多いと思うんです。けれど、現代の女性主体の風潮を汲んだかのように、彼女の考えをしっかり通して、彼女の叶えたい夢を実現させる方向に舵が切られたので、新しさを感じました」

 王宮をテーマにした作品は、いつも豪勢で浮世離れしたものが多い。しかし『THE GREAT』はその路線を少し外れた、新しい見どころを魅せてくれている。

「時代設定もコスチュームも含めて、全ておとぎ話の世界観なのに、夫婦の様子がえげつないから、現実的に感じる部分があります。特に、エカチェリーナの方がリアリストなんですよね。彼女が皇后としての人生を歩むと決めた時、ピョートルの条件を飲んで彼に従って生きていくのかと思いきや、彼を好きになる努力をするというメモ用紙を捨てるところから始める。予想の裏をついてくる展開に、目が離せないんです」

 ブラックユーモア万歳の本作では、生首や死体などグロテスクなものも時折画面に登場する。おとぎ話をリアルに描くという演出は、そういったドラマのコメディ要素にも大きく影響している。

「時々、笑えないくらい、内容がすごいんです。それでも、そういうものが『あれ? 今見たのって気のせい?』って思うぐらい、サラッと流れるから(笑)。でも、本当の人生ってそういうもので、よくない部分もたくさんあるのかなと。普段の映画が見せないものを、この作品では全て見せてくれていて、そういったリアルさを演出しているのが味わい深いです」

ピョートルのような男性は「絶対許せない」

 さて、先日結婚報告があったばかりで、幸せな新婚生活まっただ中の河北。一方で、交際ゼロ日婚で地獄のような新婚生活を送り始めたエカチェリーナに同情してならないそうだ。

「私だったら絶対耐えらません。壮絶すぎます! ピョートルは、女性が思う“こんな男は無理”っていう要素の全てを持っていると思っていて。酒癖も女癖も悪いですし、妻のエカチェリーナに対する喋り方とか全くリスペクトがない。彼は“最悪”の全てを兼ね備えている存在なんです。だから、正反対のエカチェリーナとはずっと喧嘩しっぱなしなんですよね。私は、喧嘩した時は基本的に話し合いたいです。話し合って解決しないことは、第三者に相談したり。でも、ピョートルと話すことは無理です(笑)。ピョートルの場合はエカチェリーナが大好きな熊を目の前でふざけて殺したり、本気で殴ったりするからさすがに許せません。

 それでも、毎回二人が朝ごはんを食べるシーンで期待してしまうんですよ。『昨日はごめんね』と謝り合ったりするのかなって……でも、そういうことも起きない。ピョートルはただ妻が欲しかっただけで、たまたまエカチェリーナが選ばれた、それだけのことなんだなと思いました。怖いなと思ったし、トラウマになりそうです(笑)。あんな新婚生活だったら、逃げ出したくもなるけど、逃げたら冗談抜きで殺されてしまいますし……。私も朝ごはんは(旦那さんと)一緒に食べる派ですが、もっと温かくて楽しい朝を過ごしています(笑)」

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