興収1位が入れ替わるのは4カ月ぶり! 『花束みたいな恋をした』、4つの勝因

『花束みたいな恋をした』4つの勝因

 最後にして、言うまでもなく一番大きな要因は、非メジャーの配給作品とはいえ、『花束みたいな恋をした』が菅田将暉と有村架純の主演という「旬のスター映画」としての要件も満たしていることだ。特に菅田将暉に関しては、コロナウイルスの影響で約4ヶ月の公開延期を経て昨年8月に公開された主演作『糸』も、様々な悪条件を跳ね除けて2020年度年間9位(日本映画では6位)となる累計興収22.7億円のロングヒットを記録したばかり。坂元裕二ファンの一人としては、もちろん坂元裕二脚本が最大のヒットの要因と言いたいところだし、この贅沢なキャスティングも坂元裕二のオリジナル脚本があってこそなわけだが、現象面だけをとらえたちょっと退屈な興行分析に徹するなら「『花束みたいな恋をした』は、菅田将暉が今最も観客を呼べる役者であることを改めて証明した一本となった」とするべきだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『花束みたいな恋をした』
全国公開中
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、Awesome City Club、PORIN、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
製作プロダクション:フィルムメイカーズ、リトルモア
配給:東京テアトル、リトルモア
製作:『花束みたいな恋をした』製作委員会
(c)2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
公式サイト:hana-koi.jp

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