佐藤寛太、どんな現場でも愛される“末っ子力” 劇団EXILEに吹き込んだ新しい風

佐藤寛太、どんな現場でも愛される末っ子力

 恋愛もので学生役を演じることの多かった佐藤だが、2018年からはテレビ東京の連続ドラマ『駐在刑事』に軽部翔平というキャリアの新米刑事役として出演。2020年のSeason2にも出演した。主人公の寺島進演じる「駐在さん」たちとのコミカルなやりとりがこのシリーズの空気を作っていると言ってもいいだろう。「休処 みやこ」の若女将の遼子(笛木優子)に好意を寄せており、恋のライバルたちとのやりとりも楽しい。一見して、若者向けの作品ではなく、かなり年齢層が高めの人向けの作品だと思われるが、そんな中でフレッシュな若者特融の奔放さで、寺島進演じる「駐在さん」をときに驚かせたり、あきれさせたりしながらも、どこか憎めない愛嬌を放つ役になっていた。

 中村倫也主演『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)でも、佐藤は新米刑事の高橋達臣を演じた。今度の役は、探偵の明智に憧れすぎて、刑事なのになんでもペラペラしゃべってしまうというキャラクター。明智と達臣の2人の関係性にも注目が集まっていた。当時放送されたメイキング映像を観たときも、現場で佐藤が先輩たちにあきれられながらも可愛がられている様子が伝わってきた。

 自分よりも年齢が上の人たちに、ときおり「しょうがないなあ」とあきれられながらも、愛嬌で許され、可愛がられる感じこそが、佐藤寛太の持ち味という気もする。インタビューなどで劇団EXILEの先輩たちと一緒のときも、そうした末っ子キャラの愛らしさをいかんなく発揮し、つっこまれたりしている姿を見る。劇団に新しい風やイメージをもたらした人物とも言えるだろう。実際こうして振り返ってみても、彼が演じる役は、これまでの先輩たちとは一味違っている。もっとも、LDHのアーティストたちも、若い世代はどんどん漫画原作のラブコメに出て「王子様」を演じているが、佐藤寛太はこうした流れの源流にいたのではないだろうか。

 2021年は坂元裕二の脚本による映画『花束みたいな恋をした』にも出演。この作品でも佐藤の持ち味をいかした役で登場しているので、ぜひともその姿を確認してほしい。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『花束みたいな恋をした』
1月29日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎敏、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、Awesome City Club、PORIN、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
製作プロダクション:フィルムメイカーズ、リトルモア
配給:東京テアトル、リトルモア
製作:『花束みたいな恋をした』製作委員会
(c)2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
公式サイト:hana-koi.jp

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