公開延期になる作品ならない作品、判断基準はどこに?

公開延期になる作品とならない作品の基準は?

 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開延期を受けて、東宝は急遽、テレビアニメシリーズ『名探偵コナン』の特別総集編、『名探偵コナン 緋色の不在証明』を2月11日から3月4日にかけて3週間限定で劇場公開することを決定。それまでは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の上映館をあまり減らさない方向で可能な限り引っぱって、昨年から丸1年の公開延期となった4月16日公開の『名探偵コナン 緋色の弾丸』の前煽りとしても、テレビアニメシリーズの総集編でなんとかこの窮地をしのごうという判断だろう。

 現状、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開はどんなに早くても『名探偵コナン 緋色の不在証明』の公開が終わった後の3月5日以降、あるいは、さすがにもうこれ以上は公開日を動かせないであろう『名探偵コナン 緋色の弾丸』の後ということになるだろう。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に関しては、宇多田ヒカルの主題歌のリリースなども含めた大々的なプロモーションが一時停止しているだけでなく、水面下で各シネコンの編成や他の作品の公開スケジュールに大きな影響が出ている(自分も別の作品のプロモーションで動いていた仕事がいくつか宙吊りになっている)。逆に言えば、それだけの犠牲を払ってでも公開日を動かすしかないほどのケタ外れの動員が見込まれていたわけだ。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『ザ・スイッチ』
公開日未定
監督:クリストファー・ランドン
製作:ジェイソン・ブラムほか
出演:ヴィンス・ヴォーン、キャスリン・ニュートン、アラン・ラックほか
配給:東宝東和
(c)2020 UNIVERSAL STUDIOS
公式サイト:theswitch-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/uni_horror

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