杉咲花、若村麻由美、映美くららが見せる女優魂 『おちょやん』が描く芝居に魅せられた女性たち

『おちょやん』芝居に魅せられた女性たち

 清子の話を聞き、千代はふたたび千鳥のもとへ。そこには8時間は寝ると嘘をつき、夜遅くまで一人稽古に励む千鳥の姿が。汗をかき、衣服を変え、「もう一回!」と自分を鼓舞しながら、何度も、何度も同じ舞を繰り返す。稽古なのに、まるで舞台に立っている姿が想像できるほどの気迫。

 千鳥も、清子も、カフェーの女給たちも、千代も、なぜみんな芝居に魅せられるのか。それは、芝居が自分の存在を肯定してくれるからだろう。まだ女性よりも男性の力が強い時代、「女性だから」という理由で損をすることもある。だけど女優になれば、自分を思い切り表現できる、自分を見下した人たちを芝居であっと言わせることもできる。舞台の上では女も男も関係ない。それぞれ事情は異なれ、彼女たちはみな志で繋がっている。

 千代の夢はまだ始まったばかりだ。戻ってきた千代に悪態をつきながらも、水に浮かんだ四つ葉のクローバーを見て微笑む千鳥。2人はきっと、良い師弟関係を築いていくことだろう。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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