新春は韓国産ゾンビ作品がうってつけ? 『#生きている』『キングダム』など話題作を一挙紹介

噛まれにいくスタイル!? コメディ系の『感染家族』

『感染家族』(c)2019 Megabox JoongAng Plus M & Cinezoo, Oscar 10studio, all right

 とはいえ、韓国の作るゾンビ映画の全てが重々しいわけではありません。『感染家族』は韓国ゾンビ映画、いえ、世界で見ても異色中の異色。なんと“人間がゾンビに噛まれにいく”スタイルの作品! 主人公のパク一家は田舎のガソリンスタンドを営んでいましたが、周りも老人ばかりで誰も使わないし、廃業状態。父親はギャンブル、妻は臨月、長男は詐欺まがいなことをするし、次男は製薬会社をクビになって出戻り、そして末っ子の女の子ヘゴルという5人家族。ある日、花札に負けてしょぼくれて帰っているところを、父が謎の青年に噛みつかれる。噛まれたところが額、というのも斬新! そして帰宅すると、なんとその青年が迷いこんで家にいた。

 この映画の新しいところは、ゾンビ映画界では割と珍しい、「ゾンビをゾンビ」と認識するスタイルだということ。製薬会社に勤めていたミンゴルが、真っ先に父を噛んだ青年をゾンビだと言い、対策を講じるのです。もちろん。噛まれた父も隔離。しかし、彼が翌日になっても豹変するどころか若返って調子が良い。これに気づいた街のシニアが「俺も!」と集いはじめ、ゾンビを使った若返りビジネスを始める一家の物語。笑ってしまうぐらい、ありそうでなかった話です。ところが、もちろんそのままで済むはずもなく、後半はしっかりゾンビパニック映画になっているのも魅力的。

主演2人がイケメンすぎてゾンビどころではない『王宮の夜鬼』

『王宮の夜鬼』(c)2018 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & LEEYANG FILM & REAR WINDOW. All Rights Reserved.

 こちらは韓国お馴染みの「王宮もの」。日本で言うと時代劇に近いジャンルになりますが、そこにゾンビを混ぜて作られたのがこちら。しっかり時代設定に基づいて、ゾンビではなく疫病や夜鬼という表現がされています。とにかく、ダブル主演のヒョンビンとチャン・ドンゴンがかっこいい。この2人は韓国映画に精通していなくても一度は聞いたことがあるようなビッグスターなわけで、道端で女の子をナンパしちゃう自由さもある王子をヒョンビンが、彼の前に立ちはだかり国家転覆を企てる悪人をチャン・ドンゴンが演じます。

 舞台は朝鮮王朝。船の中でゾンビに襲われた男が都に戻り、発症してしまう。それから貧しい民の間でパンデミックが起きる中、宮では陰謀が渦巻いていた。その中に清から戻ってきたちゃらんぽらんな王子イ・チョンが、民を守るために覚醒していく成長物語でもあります。何より、本作はゾンビの描写が素晴らしい。変化するときの骨格の動き、そして群衆となって押し寄せるその数の多さ。そしてそれ以上に特筆すべきなのが、本作はほぼ完全にアクションによった作品であること。ワイヤーをふんだんに使った圧巻のバトルシーンは見ているだけで爽快!

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