吉沢亮、自身の実力を示した2020年 大河ドラマ『青天を衝け』に向け最高の助走に

吉沢亮、大河前の2020年は最高の助走に

 一方、『さくら』では悲劇の好青年を演じ、封切られたばかりの『AWAKE』では夢に破れた将棋青年が再起する姿を演じている。どんなキャラクターでも、どんな立ち位置の役どころであっても自在にこなす吉沢だが、『青くて痛くて脆い』の楓役のように、とりわけ彼は“ひねくれ者”や“こじらせ系”の若者の演技が優れているように思う。

『さくら』(c)西加奈子/小学館 (c)2020 「さくら」製作委員会

 『さくら』の青年はとある事故をきっかけに心を閉ざし、『AWAKE』での青年はプロ棋士の道を断念、少々やぶれかぶれの大学生活に入っていく。どちらも内省的なキャラクター。吉沢は感情を外に向けて放出するのでなく、内側で膨らませ、破裂させ、その結果が表情や声音というものに表れているのだと感じる。その点、『さくら』は「事故に遭う」という展開によって、彼は表情での自己主張を制限されていた。どんなに強い言葉やセリフ回しよりも、吉沢の表情はそれらを超えるーーそういった意味で『さくら』の吉沢は、ある種の“話術”によって自身の実力を示したといえるはずである。

大河ドラマ『青天を衝け』(写真提供=NHK)

 さて、大河ドラマで主演を務める2021年は、吉沢の俳優人生において確実に大きな年となるのだろう。そんな2021年へと向かって、この2020年の活躍は最高の助走ともなったのではないだろうか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『AWAKE』
公開中
出演:吉沢亮、若葉竜也、落合モトキ、寛一郎、馬場ふみか、川島潤哉、永岡佑、森矢カンナ、中村まこと
監督・脚本:山田篤宏
制作・配給:キノフィルムズ
製作:木下グループ
2019年/日本/日本語/119分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
(c)2019『AWAKE』フィルムパートナーズ
公式サイト:awake-film.com
公式Twitter:@awake_eiga2020
公式Instagram:@awake_eiga2020

■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、2021年2月14日(日)放送開始
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
題字:杉本博司
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK
公式ホームページ:https://www.nhk.or.jp/seiten
公式 Twitter:@nhk_seiten

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