『チェリまほ』は“一歩踏み出す勇気”を教えてくれた 安達と黒沢の幸せな最終回を願って

『チェリまほ』幸せな最終回を願って

 また、浅香航大演じる安達の友人・柘植と、ゆうたろう演じる配達員・湊が結ばれるまでの展開も胸を熱くさせる。柘植は安達と同じように触れた相手の心が読める魔法を手に入れ、最初はチャラチャラした青年だと思っていた湊の素直で可愛らしい一面を知り、恋に落ちた。不器用だけど、プロのダンサー目指す自分の夢を「絶対にバカにしない」と断言してくれた柘植に湊もまた惹かれていく。ここでも出会いが人を変えていく瞬間を、私たちに説得力を持って見せてくれた。そして、柘植は安達より一足早く魔法から“卒業”へ。

 人に触れても心が読めなくなり、付き合って早々問題が発生した柘植が安達にアドバイスしたのは「魔法の力に頼りすぎるな」。いずれ“卒業”すれば、魔法の力は消えてしまう。これまでは触れるだけで読めた相手の気持ちを、力を失った後は自分の力で想像し、正解か不正解かはわからない状態で行動するしかない。第11話では安達が黒沢に本当は心の声が読めていたことを明かし、魔法の力を失う不安を吐露する場面も。安達が笑っていることが何よりも幸せな黒沢は苦しむ姿を見ていられなかったのだろう。2人は楽しみにしていたクリスマス直前に別れを選んでしまった。

 『チェリまほ』はついに第12話をもって最終回を迎える。恋人たちが寄り添うクリスマスイブ、安達と黒沢は共に幸せな夜を送ることはできるのだろうか。ただ一つだけ確かなことがある。黒沢が安達を好きになったあの日、安達に完璧じゃない自分を肯定された黒沢は「初めて心に触れられた気がした」と言っていた。でも、安達はその時“触れた相手の心が読める魔法”を使ったわけではない。心の底から、完璧じゃない黒沢を「なんかいい」と思ったから。心が読める魔法じゃなくても、安達はもともと黒沢を幸せにする魔法を持っているのだ。だからあとは、ハッピーエンドに向かって一歩を踏み出す勇気だけ。サンタさんに2人の幸せを願ったら叶えてくれそうな気がしないだろうか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
木ドラ25『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』
テレビ東京ほかにて、毎週木曜深夜1:00〜1:30放送
BSテレ東/BSテレ東4Kにて、毎週火曜深夜0:00〜0:30放送
※放送日時は変更になる可能性あり
出演:赤楚衛二、浅⾹航⼤、ゆうたろう、草川拓弥(超特急)、佐藤玲、鈴之助、町田啓太
原作:豊田悠(掲載『ガンガンpixiv』スクウェア・エニックス刊)
オープニングテーマ:Omoinotake「産声」(NEON RECORDS)
エンディングテーマ:DEEP SQUAD「Good Love Your Love」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督:風間太樹、湯浅弘章、林雅貴
脚本:吉田恵里香、おかざきさとこ
プロデューサー:本間かなみ(テレビ東京)、井原梓(テレビ東京)、熊谷理恵(大映テレビ)
制作:テレビ東京 大映テレビ
製作著作:「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会
(c)豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/cherimaho/
公式Twitter:https://twitter.com/tx_cherimaho

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