『恋あた』幸せいっぱいな2021年を期待するラストに ドラマを通して共有する甘い時間

『恋あた』ドラマを通して共有する甘い時間

 “クリスマス”なんてなければいつもと変わらない夜だけれど、年1度大切な人を想って過ごす日があることは間違いなく人生の楽しみの1つ。恋をすると“今日好きな人とどんなことを話そうか”と毎朝考えてドキドキしてしまうように。クリスマスを知ったからには、“その日を誰とどう過ごそうか”とワクワクしてしまう。大勢でのクリスマスパーティーができない今、彼らと一緒にホワイトクリスマスを楽しんだような気持ちになる最終回だった。

 そこでも特筆したいのが、樹木のノロケを微笑みながら聞けるマコっちゃんと里保(石橋静河)の人の良さだ。見方によっては、2人の失恋の上にある樹木と浅羽の両想い。しかし、「蹴っ飛ばしてやろうか」「シングルベルを楽しそうって言うな」と小突いて、変に気を遣わせない会話が実に清々しい。好きな人の幸せが、自分の幸せ。誰かが幸せになることを、自分のことのように喜ぶことができる尊さ、それもまた人間の甘く美しい部分。彼らの善良っぷりに、心が洗われるような気分になる。

 そんな彼らなら、きっと幸せな恋がこの先待ち受けているのだと確信できる。“幸せになる”とは、誰かの甘い時間を喜ぶところから始まっているのだ。このドラマには自分だけが甘い蜜を吸おうという人が、1人も出てこなかった。だから、こんなにも観ている私たちがうっとりとするような気持ちに包まれたのだろう。

 最初の一口は自分で食べるのはなく、相手に食べさせたくなる。心を込めてつくたスイーツこそ、そんな気分になるように。このドラマは、観る(味わう)私たちの幸せを願って作られた作品。次は、私たちが誰かに甘い時間を届ける番。そうして、甘くてやさしい気持ちが連鎖して、2021年が幸せいっぱいな1年になるように願っている。 

■作品情報
『この恋あたためますか』
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、飯塚悟志(東京03)、古川琴音、佐藤貴史、長村航希、中田クルミ、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史
脚本:神森万里江、青塚美穂
プロデュース:中井芳彦
演出:岡本伸吾、坪井敏雄
主題歌:SEKAI NO OWARI「silent」(ユニバーサルミュージック)
製作著作:TBS
(c)TBS

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