波瑠×松下洸平は“答え”を導き出せるのか 『#リモラブ』が描く“家族”になることの難しさ

『#リモラブ』が描く家族になることの難しさ

 彼が特に最強に強烈だったのは、第8話における、五文字が逆に「マスクをする」ことで美々との距離を物理的にも心理的にも狭めてしまう(ソーシャルディスタンスが保てなくなってしまう)から、彼女のことを心配する気持ちを抑えられない自分は「マスクをしないほうがいい」と美々に投げかける場面だった。

 ある意味、彼らにとっての「マスク」と、SNS上で彼らがやり取りする時に使う「草モチ」「檸檬」「檸檬2」という仮の名前は似ている。仮面なのである。マスクやSNS上の名前によって、パーソナルスペースが守られるから、素性を隠せるから、彼らは安心して相手に近づける。ちょっと大胆に。ちょっと気を緩めて。だから、SNSでのやり取りを極力やめて、本当の意味で分かり合おうと努力する美々と青林の心の距離はどんどん遠のいていっているのに、五文字は、「檸檬2」というマスクをすることによって、「草モチ」美々との心の距離をグッと狭めてしまったために、美々にとって、五文字が青林より気楽でいられる存在になってしまいかねないのである。

 なんだかいろいろと頭でっかちな若者たちの恋を「やれやれ」という目線で見ている大人カップル、朝鳴・富近にも、出世という夢と、息子と過ごす時間どっちをとるか問題を乗り越えたと思ったら、「新しいお母さん」問題が浮上するなど、ぶつかる壁はいろいろある。順風満帆そうな八木原(高橋優斗)・栞(福地桃子)も、結婚を前に、八木原と、栞の父(西堀亮)それぞれの夢の両立に悩んでいる。「普通の恋は邪道」とは言うけれど、意外とどの世代も「恋」と名の付くものは何かしら大変なのだ。特に「家族」になろうとすると。

 じゃあ、どうするの?教えて、富近先生!と全てすがりたいところだが、最終回、彼らがこの難解な問題の答えを自分の力で出してくれるのを待とう。

※高橋優斗の「高」ははしごだかが正式表記。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住。学生時代の寺山修司研究がきっかけで、休日はテレビドラマに映画、本に溺れ、ライター業に勤しむ。日中は書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:波瑠、松下洸平、間宮祥太朗、川栄李奈、高橋優斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、福地桃子、渡辺大、江口のりこ、及川光博
脚本:水橋文美江
演出:中島悟、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
チーフプロデューサー:西憲彦
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/remolove/
公式Twitter:@remolove_NTV
公式Instagram:@remolove_NTV

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