年末企画:田近昌也の「2020年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 英米以外の国で良作が続々登場

田近昌也の「2020年ベスト海外ドラマ」

 一方3位の『クイーンズ・ギャンビット』は全7話のリミテッドシリーズで、シンプルなストーリーながら親子の愛、ライバルとの友情、男社会で快進撃を続ける主人公の成長など見どころが多い。本作は1960年代のアメリカ東部、ケンタッキー州に暮らすベスがチェスで才能を開花させ、世界的なプレイヤーになる姿を描いており、「ピリオド(時代)もの」「チェス」という比較的地味な設定ゆえすぐに手が出なかったのだが、Netflixの展開する92カ国でトップ10入り、イギリス、アルゼンチンなど63カ国でベスト1というザワつき様に筆者もついに観始め、止まらなくなった。

『クイーンズ・ギャンビット』THE QUEEN’S GAMBIT Cr. PHIL BRAY/NETFLIX (c)2020

 配信によって世界各国のシリーズが容易に見られるようになった現在、筆者のランキングに入れた作品も含め、60分×6話のミニシリーズや30分×8話でマルチシーズンなど、多様なフォーマットが存在するようになった。もはや「フォーマット」という概念は大きな意味を持たず、各シリーズに最適な形を見つけることも、今の製作側の重要なスキルの一つになったと感じている。

 最後にアメリカの業界紙各紙で出している2020年のドラマトップ10の中で、必ず上位に食い込んでいるHBO作品『I May Destroy You(原題)』が、現在日本では視聴が不可能なようなので、ぜひどうにかアクセス可能にしていただきたいところである。

■田近昌也
北海道出身。上智大学外国語学部卒。東京でインテリアの営業を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院プロデューサー科を修了。その後メジャースタジオの長編映画企画開発部門などで経験を積む。

■配信情報
Netflixオリジナルドラマ『ダーク』
Netflixにて独占配信中
Netflix:https://www.netflix.com/

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