『おちょやん』で杉咲花と奮闘 土居志央梨、仁村紗和、古谷ちさら“お茶子”女優に注目

『おちょやん』杉咲花と奮闘の“お茶子”女優

「福富」のお茶子たち

「岡安」には強気だが、「福富」の女将には頭が上がらない椿(丹下真寿美)

 ことあるごとに千代や「岡安」のお茶子たちに噛み付いてくる姿が印象的な椿。目を向いて物を言う姿は力強いが、「福富」の女将・菊(いしのようこ)に叱られているときの元気のない表情を見ると、どこか憎めない。椿を演じるのは、関西を拠点として活動する丹下真寿美。噂好きな「福富」のお茶子たちは、シズと早川の噂を広めるのだが、その時の椿のイキイキとした表情が小憎たらしくも魅力的だ。

所作がしなやかで美しいが、「岡安」への強いライバル視を感じるぼたん(沢暉蓮)

 ぼたんを演じる沢暉蓮は、映画『決算!忠臣蔵』や『居眠り磐音』に『引っ越し大名!』、ドラマでは『歴史秘話ヒストリア』(NHK総合)など、歴史を描く作品に数多く出演している。所属事務所のプロフィールには特技「日本舞踊」とあり、本作では自身の武器を存分に活かしている。というのも、椿とともに千代を「おちょやん」とからかうシーンで、ぼたんの所作は一際しなやかで美しい。その美しい所作が、彼女たちの「岡安」への強いライバル視をよりいっそう際立たせていた。

「福富」のお茶子の中で妹気質、軽快な動きが印象に残るあやめ(藤本くるみ)

 教育番組『パニパニパイア!』(スカパー)のメインキャスト・メアを演じていた藤本くるみ。そんな彼女が演じるあやめは椿やぼたんよりも年下のようで、さりげない動きから若々しさが感じられる。千代が高城百合子(井川遥)を岡安へ連れて行こうとした際には、身を隠す高城にタタタッと駆け寄り、椿やぼたんとは違うアプローチで千代と高城を足止めしていた。立ち去る際、高城への興味を示しながらも、千代を見るなり「ふんっ」とそっぽを向いたあやめ。見知らぬものへの好奇心とライバル心が感じられ、そのキャラクター像が色濃くなったように思えた。

 「岡安」に来たばかりの頃の千代と同じくらいの年の里子(奥野此美)もまた、懸命に仕事を覚えようとする姿やお茶子たちを慕う姿が目を引く。2018年に放送された『まんぷく』(NHK総合)で塩軍団を演じた俳優が続々と活躍しているように、彼女たちもまた、活動の幅を広げていくのではないだろうか。今後の千代との絡みからも目が離せない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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