中村倫也の“間に合ってしまった”告白 『恋あた』仲野太賀演じるマコっちゃんの運命やいかに?

『恋あた』“間に合ってしまった”浅羽の告白

 あの日、両親に食べてもらえず、床に落ちた不格好なクリスマスケーキ。望んで傷つくのなら、最初から望まない。そう決めたはずだった。でも、自分が本当に欲しいものは、どんなにカッコ悪くても、どんなに傷つく結果になったとしても、手を伸ばさなければならないと知った。

 それに気づいてからは、なりふりかまっていられなくなってしまったのだろう。親友の新谷(仲野太賀)との間を割ってでも、自分の想いを告げずにはいられない。必死で走り、寒さと愛しさで目には涙がにじむ。ひょっとしたら、その涙には「もっと早く自分の気持ちに気づいていれば」と悔しい気持ちもあったかもしれない。親友が育んできた好きをぶっ潰すようなタイミング。まとまらない考え、容量を得ない言葉。最高にカッコ悪い告白だ。これは浅羽にとって初恋といえるかもしれない。

 恋はタイミング1つでガラリと状況が変わってしまう。電気が通った途端、先程までの暗闇がウソだったかのように明るく照らされる。それくらい世界が変わってしまう瞬間がある。もしかしたら、新谷が「タイム、タイム」と言っていなければ、浅羽はこの場に間に合わず、樹木は新谷と結ばれていたかもしれない。でも、間に合ってしまった。

 浅羽に勉強も、サッカーも、敵わなかった新谷だが、樹木に対する必死な想いだけは勝っていると確信があった。実際、この瞬間まではそうだった。でも、今目の前にいるのは、見たこともないくらいに取り乱した浅羽だ。きっとその浅羽の姿は、新谷さえ見たことのない必死さだったのではないか。

 かつてヒロインが想い続けた本命のヒーローが、こんなにもカッコ悪いラブストーリーがあっただろうか。でも、そのみっともない姿をさらけ出せたことが、浅羽にとってどれほど勇気のいる行為だったかを想像すると、グッときてしまう。もちろん、これまでたこ焼きを丁寧にひっくり返すように、1つずつ積み上げてきた新谷が報われてほしい思いもある。

 次回、樹木がどんな答えを出すのか。気になって仕方ないが、予告映像を見てもこれまでの思い出を振り返るような作り。これは、1つのシーンもネタバレできないことなのか。願わくば、誰もがスイーツを食べた後のような心温まるラストになることを。ドキドキしながら、クリスマス間近の最終回を待ちたい。

■放送情報
『この恋あたためますか』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、飯塚悟志(東京03)、古川琴音、佐藤貴史、長村航希、中田クルミ、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史
脚本:神森万里江、青塚美穂
プロデュース:中井芳彦
演出:岡本伸吾、坪井敏雄
主題歌:SEKAI NO OWARI「silent」(ユニバーサルミュージック)
製作著作:TBS
(c)TBS

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