間一髪で2020年劇場公開に間に合った『ワンダーウーマン 1984』

ワンダーウーマンは「奇跡」を見せてくれるか

 『ワンダーウーマン 1984』のような世界的な大ヒットが約束されている実写のスーパーヒーロー映画が、劇場と同時に配信で公開されることなど、もちろんパンデミック前には考えられなかったことだ。必然的に、世界興収で8億2000万ドル(約860億円。そのうちの約半分はアメリカの国内興収)を記録した前作からは、興行収入の大幅な低下が見込まれている。ワーナーとしては、それでも昨年ローンチしたばかりの新サービスであるHBO Maxの加入者増加に繋がればいいという考えなのだろうが、それでも(ディズニーとは違って)劇場で鑑賞するという選択肢を残してくれたわけだから良心的と言えるだろう。

 前週に続いて、先週も観客動員ランキングのトップ10に実写の外国映画はゼロ。それどころか、シネコンによっては、各スクリーンで上映しているすべての作品が日本映画という状況まで生まれている。結局、日本でも、世界各国でも、2020年公開のスーパーヒーロー映画は、パンデミック直前の2月(日本公開は3月)に公開された『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』と『ワンダーウーマン 1984』の2作だけということになった。信じられないことばかりが続いた2020年、その最後の最後に、ワンダーウーマンは「奇跡」を見せてくれるかもしれない。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『ワンダーウーマン 1984』
12月18日(金)日本公開
監督:パティ・ジェンキンス
出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、クリスティン・ウィグ、ペドロ・パスカル、ロビン・ライト
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics

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